週間為替展望(豪ドル/ZAR)-RBA、利上げペースを軌道修正か
◆豪ドル、RBAの利上げペース軌道修正の可能性が重し
◆日米金融政策の方向性の違いは依然として下支え
◆ZAR、上値重いか、電力負荷制限強化などのネガティブニュース多し
予想レンジ
豪ドル円 90.50-95.50円
南ア・ランド円 7.70-8.10円
8月8日週の展望
豪ドルはもみ合いか。日豪の政策金利差は拡大傾向にあるが、この数週間はドル円の巻き戻しが大きく、豪ドル円は弱含んだ。しかし、豪準備銀行(RBA)と日銀の金融政策の方向性の違いは明確で、豪ドル円がこのまま下がり続けるのは難しく、日豪金利差が支えになりそうだ。
今週行われたRBA理事会では、市場予想通り50ベーシスポイント(bp)利上げし、政策金利を1.35%から1.85%へと引き上げた。声明文では、「今後も金融正常化に向けて進むことを見込む」としながらも、「あらかじめ設定された軌道上にあるわけではない」という文言を付け加えた。これを受けて豪3年債利回りが3カ月ぶりの水準まで低下し、豪ドルは弱含んだ。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に続いて、行き過ぎた利上げ期待を打ち消しに動いたことで、今後もRBAの軌道修正は豪ドルの重しになりそうだ。RBAは金融引き締め時も、直前まで頑なに金融正常化を否定していたにもかかわらず、極短期間で見解を反転して利上げに動いた。金融政策に対しては非常に柔軟性を持っていることを念頭に入れて置きたい。
なお、2022年のインフレ率は5月時予想の6%から7.75%へと上方修正したが、先月28日にチャーマーズ豪財務相が発表した政府予想と全く同じだったこともあり、市場のサプライズはなかった。2023年は4%をわずかに上回るとした。また、2022年の国内総生産(GDP)は4.5%から3.25%に引き下げたが、これも政府が予め、22年を3.5%から3.0%、23年を2.5%から2.0%へと下方修正していたことから、市場の反応は鈍かった。
来週の経済指標では9日に7月のNAB企業景況感・信頼感、10日に8月ウェストパック消費者信頼感指数が発表される。また、NZからは8日に政府の2年インフレ予想が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られるか。南アからは主だった経済指標の発表が無いことで、米金利の動向に左右される相場が続いている。もっとも、南アからはポジティブなニュースを探すのが難しい状況は変わらない。今週も電力の負荷制限が週後半からステージ4に引き上げられ、公務員組合によるストライキも継続されるなど、経済や社会不安となるニュースが多く、ZARを積極的に買うのは難しそうだ。なお、来週の経済指標では10日に7月のSACCI企業景況感が発表される。
8月1日週の回顧
豪ドルは軟調に推移した。RBAは市場予想通り利上げを決定したが、声明文でこれまでの既定路線のような利上げを否定したことで売られた。対ドルでは0.68ドル後半、対円では5月27日以来となる90円半ばまで弱含んだ。また、ペロシ米下院議長の台湾訪問などで、米中関係の悪化でドル円の下げ幅が大きかったことも豪ドル円の重しになった。ZARは対円ではドル円の下げ幅が大きかったことで、一時3月中旬以来となる7.85円近辺まで弱含んだ。対ドルでは方向感のない動きだったが、ややドル買い・ZAR売りが優勢となった。(了)
◆日米金融政策の方向性の違いは依然として下支え
◆ZAR、上値重いか、電力負荷制限強化などのネガティブニュース多し
予想レンジ
豪ドル円 90.50-95.50円
南ア・ランド円 7.70-8.10円
8月8日週の展望
豪ドルはもみ合いか。日豪の政策金利差は拡大傾向にあるが、この数週間はドル円の巻き戻しが大きく、豪ドル円は弱含んだ。しかし、豪準備銀行(RBA)と日銀の金融政策の方向性の違いは明確で、豪ドル円がこのまま下がり続けるのは難しく、日豪金利差が支えになりそうだ。
今週行われたRBA理事会では、市場予想通り50ベーシスポイント(bp)利上げし、政策金利を1.35%から1.85%へと引き上げた。声明文では、「今後も金融正常化に向けて進むことを見込む」としながらも、「あらかじめ設定された軌道上にあるわけではない」という文言を付け加えた。これを受けて豪3年債利回りが3カ月ぶりの水準まで低下し、豪ドルは弱含んだ。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に続いて、行き過ぎた利上げ期待を打ち消しに動いたことで、今後もRBAの軌道修正は豪ドルの重しになりそうだ。RBAは金融引き締め時も、直前まで頑なに金融正常化を否定していたにもかかわらず、極短期間で見解を反転して利上げに動いた。金融政策に対しては非常に柔軟性を持っていることを念頭に入れて置きたい。
なお、2022年のインフレ率は5月時予想の6%から7.75%へと上方修正したが、先月28日にチャーマーズ豪財務相が発表した政府予想と全く同じだったこともあり、市場のサプライズはなかった。2023年は4%をわずかに上回るとした。また、2022年の国内総生産(GDP)は4.5%から3.25%に引き下げたが、これも政府が予め、22年を3.5%から3.0%、23年を2.5%から2.0%へと下方修正していたことから、市場の反応は鈍かった。
来週の経済指標では9日に7月のNAB企業景況感・信頼感、10日に8月ウェストパック消費者信頼感指数が発表される。また、NZからは8日に政府の2年インフレ予想が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られるか。南アからは主だった経済指標の発表が無いことで、米金利の動向に左右される相場が続いている。もっとも、南アからはポジティブなニュースを探すのが難しい状況は変わらない。今週も電力の負荷制限が週後半からステージ4に引き上げられ、公務員組合によるストライキも継続されるなど、経済や社会不安となるニュースが多く、ZARを積極的に買うのは難しそうだ。なお、来週の経済指標では10日に7月のSACCI企業景況感が発表される。
8月1日週の回顧
豪ドルは軟調に推移した。RBAは市場予想通り利上げを決定したが、声明文でこれまでの既定路線のような利上げを否定したことで売られた。対ドルでは0.68ドル後半、対円では5月27日以来となる90円半ばまで弱含んだ。また、ペロシ米下院議長の台湾訪問などで、米中関係の悪化でドル円の下げ幅が大きかったことも豪ドル円の重しになった。ZARは対円ではドル円の下げ幅が大きかったことで、一時3月中旬以来となる7.85円近辺まで弱含んだ。対ドルでは方向感のない動きだったが、ややドル買い・ZAR売りが優勢となった。(了)