週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル GDPや原油価格に注目
◆ポンド、伸び悩む展開か、英景況感は悪化
◆ポンド、インフレ加速予想で上値は追いづらい
◆加ドル GDPや原油先物価格の動向に注目
予想レンジ
ポンド円 159.00-164.50円
加ドル円 103.50-107.50円
8月29日週の展望
ポンドは伸び悩む展開か。23日に発表された英国の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は46.0と市場予想の51.1から大きく下振れた。景況感判断の境目となる50を下回ったのは2020年5月以来となる。同国の産業構造において製造業の割合は低下しているとはいえ、景気の先行き不透明感が深まっていることを示す結果だ。
インフレ悪化の見通しも英国経済にとっては大きな不安要因だろう。米金融大手シティグループは、英消費者物価指数(CPI)が2023年1月にも前年比18%台に達するとの予想を明らかにした。イングランド銀行(英中銀、BOE)が先の金融政策報告書で予測した今年10-12月期の13%程度よりも更に加速度を増すことになる。もしシティグループの見込み通りであれば、1976年以来のインフレ率だ。また同グループのエコノミストは、インフレ高進の兆候が確認されるようだと、現行1.75%の政策金利が6-7%まで引き上げられる可能性もあるとしている。
次回の英金融政策の発表を来月半ばに控え、金利先高観はますます強まりそうだ。極端な金利上昇は経済成長のブレーキとなるため、ポンドの上値の重さは依然として意識されそうだ。
加ドルは週半ばに発表される国内総生産(GDP)が注目される。足もとでは物価上昇の一服が確認され、マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁も水準は高いとしながらも、インフレ率ピークアウトの可能性に言及。GDPの結果が加経済の底堅さを示すようであれば、今年残り3回の金融政策決定会合に対して、利上げペース鈍化への思惑も高まるだろう。なお、次回会合は9月7日に予定されており、その1週間前となる8月31日からブラックアウト(またはノーコメント)期間に入る。その直前となる週前半は金融当局者の駆け込み的発言に注意したい。
またカナダの主要輸出品目である原油価格の動向にも目を向けておく必要がある。サウジアラビアなど産油国から将来的な減産の可能性を示唆する発言が相次ぎ、NY原油先物は一時買いが優勢となる場面があった。イラン核合意の再建を巡る米国とイランのやり取りにも敏感に反応しており、その動向も注視すべきだろう。
8月22日週の回顧
ポンドは、対円では161-162円台を中心に上下した。欧州エネルギー危機を受けてユーロが下値を広げたことに追随し、一時は160円台まで下押しする場面もあった。ただ、対ドルで年初来安値を更新した後、切り返したほか、底堅いドル円にも支えられて反発した。ポンドドルは週前半に1.1720ドル割れまで売り込まれたところから1.19ドル台まで反発した。
加ドルは底堅い動きだった。対円では104円後半で支えられて105円後半まで買われ、約1カ月ぶりの高値を更新した。米金利の上昇を受けて対ドルでは1.30加ドル台まで加ドル売りが先行するも、一巡後は1.29加ドル台まで加ドル高に傾いた。NY原油先物価格が反発し産油国通貨の加ドルの支援材料となった。また加インフレがピークアウトの兆しを見せていることも、加ドル買いを促した。(了)
(小針)
◆ポンド、インフレ加速予想で上値は追いづらい
◆加ドル GDPや原油先物価格の動向に注目
予想レンジ
ポンド円 159.00-164.50円
加ドル円 103.50-107.50円
8月29日週の展望
ポンドは伸び悩む展開か。23日に発表された英国の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は46.0と市場予想の51.1から大きく下振れた。景況感判断の境目となる50を下回ったのは2020年5月以来となる。同国の産業構造において製造業の割合は低下しているとはいえ、景気の先行き不透明感が深まっていることを示す結果だ。
インフレ悪化の見通しも英国経済にとっては大きな不安要因だろう。米金融大手シティグループは、英消費者物価指数(CPI)が2023年1月にも前年比18%台に達するとの予想を明らかにした。イングランド銀行(英中銀、BOE)が先の金融政策報告書で予測した今年10-12月期の13%程度よりも更に加速度を増すことになる。もしシティグループの見込み通りであれば、1976年以来のインフレ率だ。また同グループのエコノミストは、インフレ高進の兆候が確認されるようだと、現行1.75%の政策金利が6-7%まで引き上げられる可能性もあるとしている。
次回の英金融政策の発表を来月半ばに控え、金利先高観はますます強まりそうだ。極端な金利上昇は経済成長のブレーキとなるため、ポンドの上値の重さは依然として意識されそうだ。
加ドルは週半ばに発表される国内総生産(GDP)が注目される。足もとでは物価上昇の一服が確認され、マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁も水準は高いとしながらも、インフレ率ピークアウトの可能性に言及。GDPの結果が加経済の底堅さを示すようであれば、今年残り3回の金融政策決定会合に対して、利上げペース鈍化への思惑も高まるだろう。なお、次回会合は9月7日に予定されており、その1週間前となる8月31日からブラックアウト(またはノーコメント)期間に入る。その直前となる週前半は金融当局者の駆け込み的発言に注意したい。
またカナダの主要輸出品目である原油価格の動向にも目を向けておく必要がある。サウジアラビアなど産油国から将来的な減産の可能性を示唆する発言が相次ぎ、NY原油先物は一時買いが優勢となる場面があった。イラン核合意の再建を巡る米国とイランのやり取りにも敏感に反応しており、その動向も注視すべきだろう。
8月22日週の回顧
ポンドは、対円では161-162円台を中心に上下した。欧州エネルギー危機を受けてユーロが下値を広げたことに追随し、一時は160円台まで下押しする場面もあった。ただ、対ドルで年初来安値を更新した後、切り返したほか、底堅いドル円にも支えられて反発した。ポンドドルは週前半に1.1720ドル割れまで売り込まれたところから1.19ドル台まで反発した。
加ドルは底堅い動きだった。対円では104円後半で支えられて105円後半まで買われ、約1カ月ぶりの高値を更新した。米金利の上昇を受けて対ドルでは1.30加ドル台まで加ドル売りが先行するも、一巡後は1.29加ドル台まで加ドル高に傾いた。NY原油先物価格が反発し産油国通貨の加ドルの支援材料となった。また加インフレがピークアウトの兆しを見せていることも、加ドル買いを促した。(了)
(小針)