週間為替展望(ポンド/加ドル)- 英インフレ加速が成長の足かせに
◆ポンド、上値限定か、英インフレ加速が経済成長の足かせに
◆加ドル、インフレへの思惑を見極める展開
◆加ドル、米経済指標の結果を受けて上下することも
予想レンジ
ポンド円 159.50-165.50円
加ドル円 102.50-106.50円
8月22日週の展望
ポンドは上値限定か。発表された7月英消費者物価指数(CPI)は前年比10.1%上昇と前回や市場予想を上回り、再び約40年ぶりの伸び率を記録した。イングランド銀行(英中銀、BOE)は積極的な金融引き締め姿勢を継続するとの見方が強まり、短期金融市場は9月半ばの金融政策委員会(MPC)での0.5%利上げをほぼ織り込んだ。しかしながら、英金利の先高観はポンド買いに繋がっていない。インフレは更に加速することが見込まれており、英国の経済活動に悪影響を及ぼすことが懸念されているからだ。
英国では10月にも、家庭の電気・ガス料金の上限が大きく引き上げられる見通し。エネルギー小売価格が上昇した場合、BOEはCPIが前年比13%程度まで上昇すると予測している。記録的なインフレによる個人消費の減少が英経済成長の足かせとされており、ポンドを積極的に買う地合いではなさそうだ。なお、足もとの景況感については、23日に発表される8月英製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値で確かめたいところだ。
加ドルは、インフレへの市場の思惑を見極める展開か。7月加CPIは前年比7.6%上昇と、6月の8.1%(1983年1月以来の高さ)から鈍化。食料品価格は急上昇したものの、伸びが大きく鈍ったガソリン価格が全体を押し下げた。この結果を受けてマックレム・カナダ中銀(BOC)総裁は、「水準はまだ高すぎるが、インフレ率はピークに達した可能性がある」との見解を示している。インフレピークアウトの兆しを好感した加ドル買いも散見された。また、BOCのインフレ目標2%近辺にはまだほど遠い状況であり、今後も金融引き締めは継続されるだろう。もっとも、前回1%引き上げたようなタカ派色が強い行動は控えられる可能性も出てきた。「急速な金利引き上げで加経済が減速するという警戒感」からの加ドル売りは弱まりそうだ。
来週、カナダからの重要指標は予定されていないが、経済的な結びつきが強い米国から景気・住宅・インフレ関連の指標が発表される。それら結果を受けた相場全般の反応に、加ドルも影響されることになるだろう。また、25-27日にはジャクソンホール会議が開かれ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて神経質な動きにも注意したい。
8月15日週の回顧
ポンドは、対円では行って来いの展開。週前半は160円前半まで下落した。中国経済の減速懸念が強まり、リスク回避の円買いが進んだ。ただ、市場全般のリスクセンチメントが改善すると、ドル円の反発にもつれて163円台まで切り返した。その後は7月英CPIの上振れを受けて伸び悩んでいる。対ドルでは1.19ドルを割り込み約1カ月ぶりのポンド安をつけた。ドル高の流れや、インフレ高進による英経済の停滞懸念がポンドの重しとなった。
加ドルは対円では売り先行も102円台で支えられ、週半ば以降は底堅く推移して105円台に乗せた。強含むドル円に追随したほか、加インフレピークアウトの兆しが支えとなった。一方、対ドルでは1.27加ドル台から1.29加ドル台まで加ドル安に傾いた。(了)
◆加ドル、インフレへの思惑を見極める展開
◆加ドル、米経済指標の結果を受けて上下することも
予想レンジ
ポンド円 159.50-165.50円
加ドル円 102.50-106.50円
8月22日週の展望
ポンドは上値限定か。発表された7月英消費者物価指数(CPI)は前年比10.1%上昇と前回や市場予想を上回り、再び約40年ぶりの伸び率を記録した。イングランド銀行(英中銀、BOE)は積極的な金融引き締め姿勢を継続するとの見方が強まり、短期金融市場は9月半ばの金融政策委員会(MPC)での0.5%利上げをほぼ織り込んだ。しかしながら、英金利の先高観はポンド買いに繋がっていない。インフレは更に加速することが見込まれており、英国の経済活動に悪影響を及ぼすことが懸念されているからだ。
英国では10月にも、家庭の電気・ガス料金の上限が大きく引き上げられる見通し。エネルギー小売価格が上昇した場合、BOEはCPIが前年比13%程度まで上昇すると予測している。記録的なインフレによる個人消費の減少が英経済成長の足かせとされており、ポンドを積極的に買う地合いではなさそうだ。なお、足もとの景況感については、23日に発表される8月英製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値で確かめたいところだ。
加ドルは、インフレへの市場の思惑を見極める展開か。7月加CPIは前年比7.6%上昇と、6月の8.1%(1983年1月以来の高さ)から鈍化。食料品価格は急上昇したものの、伸びが大きく鈍ったガソリン価格が全体を押し下げた。この結果を受けてマックレム・カナダ中銀(BOC)総裁は、「水準はまだ高すぎるが、インフレ率はピークに達した可能性がある」との見解を示している。インフレピークアウトの兆しを好感した加ドル買いも散見された。また、BOCのインフレ目標2%近辺にはまだほど遠い状況であり、今後も金融引き締めは継続されるだろう。もっとも、前回1%引き上げたようなタカ派色が強い行動は控えられる可能性も出てきた。「急速な金利引き上げで加経済が減速するという警戒感」からの加ドル売りは弱まりそうだ。
来週、カナダからの重要指標は予定されていないが、経済的な結びつきが強い米国から景気・住宅・インフレ関連の指標が発表される。それら結果を受けた相場全般の反応に、加ドルも影響されることになるだろう。また、25-27日にはジャクソンホール会議が開かれ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて神経質な動きにも注意したい。
8月15日週の回顧
ポンドは、対円では行って来いの展開。週前半は160円前半まで下落した。中国経済の減速懸念が強まり、リスク回避の円買いが進んだ。ただ、市場全般のリスクセンチメントが改善すると、ドル円の反発にもつれて163円台まで切り返した。その後は7月英CPIの上振れを受けて伸び悩んでいる。対ドルでは1.19ドルを割り込み約1カ月ぶりのポンド安をつけた。ドル高の流れや、インフレ高進による英経済の停滞懸念がポンドの重しとなった。
加ドルは対円では売り先行も102円台で支えられ、週半ば以降は底堅く推移して105円台に乗せた。強含むドル円に追随したほか、加インフレピークアウトの兆しが支えとなった。一方、対ドルでは1.27加ドル台から1.29加ドル台まで加ドル安に傾いた。(了)