週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英1月CPIに注目

◆対円では日銀総裁人事、対ドルでは米1月CPIに注目
◆ポンド、インフレ高への警戒感は根強く英1月CPIに注目
◆加ドル、BOCのハト派寄り姿勢が重しとなるか

予想レンジ
ポンド円 155.00-162.00円
加ドル円 95.00-99.00円

2月13日週の展望
 ポンドと加ドル、ともに対円ではドル円に左右される相場展開が続いている。日米金融政策の先行きに対する不透明感は払しょくされず、ドル円も方向感が出にくいが、来週は日銀総裁人事を政府が国会に提示する予定であり、日銀総裁人事と米1月消費者物価指数(CPI)が注目される。

 ポンドは上値の重い動きか。米利上げペース鈍化がポンドの対ドル相場の支えとなるが、市場ではイングランド銀行(英中銀、BOE)が景気の減速を念頭に利上げ停止を視野に入れているとの見方も強く、目先は上昇余地が限られ、下方向へのリスクが高くなっている。ただ、BOEはインフレがピークに達した可能性があると指摘した一方で、一段のインフレ圧力にも強い警戒感を示している。インフレの先行きに対する不確実性がBOEメンバーらの政策方向性をめぐる見解に相違をもたらしており、CPIなどインフレ関連指標に注目する相場展開は続きそうだ。

 来週は英国内では1月CPIや失業率など複数の物価・雇用データの発表が予定されている。12月のCPIは前年比10.5%と、41年ぶりの高い伸びを記録した10月の11.1%から2カ月連続で伸びが鈍化したが、依然として「高すぎる」水準であることは言うまでもない。BOEは政策の修正に「インフレが後退しているとの絶対的な確信が必要」としている。

 加ドルは、加国内で動意につながりそうなイベントや指標は少なく、ドルと円の動きや原油相場に振らされる展開となりそうだ。独自に手がかりは乏しいが、カナダ中銀(BOC)がハト派に傾いていることが引き続き上値圧迫要因。BOCは金融政策の決定に関する透明性を高めるため議事要旨を公開することにし、今週初めて議事要旨の内容が公表された。1月会合で政策金利を0.25%引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.50%に決定したが、議事要旨によると「0.50%の利上げは検討せず、労働市場の逼迫や予想を上回る経済成長を踏まえて据え置きではなく0.25%の利上げに踏み切った」ことが明らかになった。据え置きも討議されたことはBOCのメンバーが市場予想以上にハト派寄りであるとの見方を強めている。BOCの調査によると、市場参加者はBOCの一段の利上げは想定せず、12月までに0.50%引き下げ政策金利を4.00%にするとの見方が強いことが示された。また、調査の中央値では来年第4四半期に政策金利が3.00%になるとの見通しとなった。

2月6日週の回顧
米雇用統計を受けたドル買いの流れが継続し、ポンドドルは約1カ月ぶりの安値となる1.1961ドルまで下押したが、BOE金融政策委員会(MPC)の多くのメンバーからインフレ高への警戒感を示す発言が伝わったことも支えに1.22ドル手前まで切り返した。ドル/加ドルは1.34加ドル後半で加ドル売りが一服したが、BOCが年後半に利下げを実施するとの思惑が加ドルの重しとなり、加ドルの買い戻しは限られた。対円では日銀総裁人事をめぐる報道に振り回される相場展開となるも方向感は出ず、ポンド円は160円手前で伸び悩み、加ドル円は98円を挟んで上下した。(了)

※執筆:2月10日、9:30
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