週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、初のBOC議事要旨に注目
◆ポンド、金利先安観が続けば更なる下値余地も
◆ポンド、北アイルランド問題を巡る協議もポイントに
◆加ドル、BOCが初めて公表する会合議事要旨に注目
予想レンジ
ポンド円 155.00-162.50円
加ドル円 94.50-98.50円
2月6日週の展望
ポンドはイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策発表後に金利先安観が強まった流れが継続するようであれば、下値余地を広げることになりそうだ。BOEは2日、政策金利を3.50%から4.00%に引き上げることを決定した。10会合連続となる追加利上げや上げ幅は市場予想通り。ただし、同時に発表した金融政策レポートではインフレについて「徐々に低下し始めており、今後1年間で急激に低下する可能性がある」と指摘。声明では「今後はより持続的なインフレ圧力の証拠があれば、一段の金融引き締めが必要になる」と利上げサイクルが最終局面に入っていることを示唆した。ベイリーBOE総裁も会見で「ハト派的な見解に振れた」ことを認めている。
ベイリー総裁は「利上げの打ち止めを意味するものではない」と市場をけん制したものの、英金利は大きく低下し、ポンドも売り優勢となった。短期金融市場では年末までの利下げを完全に織り込んでいる。今後は英金融当局者の発言や足もとのインフレ動向を確かめながら、金利の先行きに対する思惑でポンドは上下することになるだろう。
英国が欧州連合(EU)を正式に離脱し、1月末で3年が経過した。離脱後に英EU間で論争の的となっていた北アイルランドを巡る問題が解決に向かいつつあるようだ。一部英メディアは、「北アイルランドに持ち込まれる製品について定期検査の必要なしという案をEUが認めた」と報じた。英政府は合意には至ってないとしているが、離脱による同国経済の損失は年1000億ポンドという試算もでるなか、経済的な合理性を考えれば英国もEUとの溝を埋めたいはずだ。今後、互いに歩み寄る姿勢がより期待され、進展あればポンドにとってはポジティブ材料となる。
加ドルは8日にカナダ中銀(BOC)が初めて公表する金融政策決定会合の議事要旨に注目。今回明らかにされるのは先月25日に開催された会合の内容。BOCは市場予想通りに8会合連続となる政策金利引き上げを決定したものの、声明では利上げの休止が示唆された。議事要旨では、インフレが鈍化基調にあるなかハト派的な見方の浸透度合いや、利上げの打ち止めを匂わすことについてメンバー内でコンセンサスがどの程度取れていたかに関心が集まりそうだ。内容次第では、短期金融市場が織り込んでいる第4四半期での利下げがより現実味を帯びてきそうだ。
1月30日週の回顧
ポンドは対ドルや対円で弱含み。国際通貨基金(IMF)が新たな経済見通しで今年の英成長予測を大幅に下方修正したことが分かると売りが先行。ただその後、想定ほどタカ派ではなかった米金融当局の姿勢を受け、対ドルでは持ち直す場面もあった。英金融政策で利上げサイクルの最終局面への思惑が強まると、対ドルでは1.22ドル付近、対円で157円割れまで下値を広げた。
加ドルは月末絡みと見られる売りで、対ドルでは1.34加ドル後半まで加ドル安が進行。ただ、米金融政策を経て全般ドル売りが進んだ場面では、1.32加ドル半ばまで加ドル高ドル安に傾いた。加ドル円はドル円の下げに引きずられ、98円手前から96円前半まで上値を切り下げた。(了)
(小針)
◆ポンド、北アイルランド問題を巡る協議もポイントに
◆加ドル、BOCが初めて公表する会合議事要旨に注目
予想レンジ
ポンド円 155.00-162.50円
加ドル円 94.50-98.50円
2月6日週の展望
ポンドはイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策発表後に金利先安観が強まった流れが継続するようであれば、下値余地を広げることになりそうだ。BOEは2日、政策金利を3.50%から4.00%に引き上げることを決定した。10会合連続となる追加利上げや上げ幅は市場予想通り。ただし、同時に発表した金融政策レポートではインフレについて「徐々に低下し始めており、今後1年間で急激に低下する可能性がある」と指摘。声明では「今後はより持続的なインフレ圧力の証拠があれば、一段の金融引き締めが必要になる」と利上げサイクルが最終局面に入っていることを示唆した。ベイリーBOE総裁も会見で「ハト派的な見解に振れた」ことを認めている。
ベイリー総裁は「利上げの打ち止めを意味するものではない」と市場をけん制したものの、英金利は大きく低下し、ポンドも売り優勢となった。短期金融市場では年末までの利下げを完全に織り込んでいる。今後は英金融当局者の発言や足もとのインフレ動向を確かめながら、金利の先行きに対する思惑でポンドは上下することになるだろう。
英国が欧州連合(EU)を正式に離脱し、1月末で3年が経過した。離脱後に英EU間で論争の的となっていた北アイルランドを巡る問題が解決に向かいつつあるようだ。一部英メディアは、「北アイルランドに持ち込まれる製品について定期検査の必要なしという案をEUが認めた」と報じた。英政府は合意には至ってないとしているが、離脱による同国経済の損失は年1000億ポンドという試算もでるなか、経済的な合理性を考えれば英国もEUとの溝を埋めたいはずだ。今後、互いに歩み寄る姿勢がより期待され、進展あればポンドにとってはポジティブ材料となる。
加ドルは8日にカナダ中銀(BOC)が初めて公表する金融政策決定会合の議事要旨に注目。今回明らかにされるのは先月25日に開催された会合の内容。BOCは市場予想通りに8会合連続となる政策金利引き上げを決定したものの、声明では利上げの休止が示唆された。議事要旨では、インフレが鈍化基調にあるなかハト派的な見方の浸透度合いや、利上げの打ち止めを匂わすことについてメンバー内でコンセンサスがどの程度取れていたかに関心が集まりそうだ。内容次第では、短期金融市場が織り込んでいる第4四半期での利下げがより現実味を帯びてきそうだ。
1月30日週の回顧
ポンドは対ドルや対円で弱含み。国際通貨基金(IMF)が新たな経済見通しで今年の英成長予測を大幅に下方修正したことが分かると売りが先行。ただその後、想定ほどタカ派ではなかった米金融当局の姿勢を受け、対ドルでは持ち直す場面もあった。英金融政策で利上げサイクルの最終局面への思惑が強まると、対ドルでは1.22ドル付近、対円で157円割れまで下値を広げた。
加ドルは月末絡みと見られる売りで、対ドルでは1.34加ドル後半まで加ドル安が進行。ただ、米金融政策を経て全般ドル売りが進んだ場面では、1.32加ドル半ばまで加ドル高ドル安に傾いた。加ドル円はドル円の下げに引きずられ、98円手前から96円前半まで上値を切り下げた。(了)
(小針)