週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOC、25bp利上げの可能性高まる
◆ポンド、金利先高観の強まりが支えとなるか
◆ポンド、北アイルランド問題の解決に向けた動きも注目
◆加ドル、25bp利上げの可能性高まる
予想レンジ
ポンド円 154.50-161.50円
加ドル円 93.50-98.50円
1月23日週の展望
ポンドは英金利先高観を背景に対ドルやユーロを中心に底堅く推移するか。
17日発表の英雇用指標では、9-11月の週平均賃金が前回や市場予想を上回った。英国が欧州連合(EU)を離脱したため同国への移民が減少し、人手不足が深刻化。それが賃金上昇率を上げた要因の1つだ。
労働市場のタイトさが裏付けられた翌日には、12月英消費者物価指数(CPI)が発表された。前年比では10.5%の上昇率と11月から0.2ポイント低下したものの、米国や独・仏などと比べるとインフレ減速の程度はかなり限定的だ。前年比伸び率で1977年以来の高水準を記録している食品・非アルコール飲料などが物価全体の低下を鈍らせているもよう。
これらインフレ情勢を鑑みて、市場では英中銀が2月に50bpの追加利上げを決定するとの見方が優勢。その後も金融引き締めが強化され、高めの金利を維持せざるを得ないとの思惑が強まっている。雇用・物価指標の結果に対し、先週の為替市場はポンド買いで反応しており、大きく状況が変わらない限りは同じような流れが続く可能性が高い。
また、北アイルランド議定書を巡る英・EU協議の行方も注目される。英国外相と北アイルランド担当相は今月第2週、EU側の首席交渉官と問題解決に向けて会談を行った。そこで英国は、EUが求めていた英通関ITシステムへのアクセスを承認。双方の交渉官トップが再び話し合った16日には目立った進展は無かったものの、歩み寄る姿勢が見られつつある。スナク英政権はEUとの関係改善を目指しているとされ、今後の協議次第では合意に向けた動きが速まるかもしれない。
加ドルは25日にカナダ中銀(BOC)が公表する金融政策に要注目。17日発表の12月CPIは前年比が6.3%の伸び率と市場予想の6.4%を下回った。前月6.8%から減速し、全体的なインフレ鈍化が確認されている。もっとも、BOCが注視するCPIトリム平均については、11月分が上方修正され、12月も5.3%と予想比で上振れた。
CPIの結果を受けてカナダ短期金融市場では、BOCによる25bp追加利上げの確率が75%超まで上昇。利上げ幅がほぼ織り込まれるなか、3月以降の会合への注目度も上がっている。先行きの金利見通しを探るうえでも、声明文内容や政策発表後のBOC総裁と副総裁の会見がより重要となってくるだろう。
1月16日週の回顧
ポンドは対ドルや円で買い先行。ベイリー英中銀総裁が週初、「昨年9月以降に高まった英資産のリスクプレミアムが大きく低下した」との見解を示したことが好感された。英インフレ率の高止まりによる金利先高観もポンドの支えとなった。対ドルでは一時約1カ月ぶりとなる1.24ドル台に乗せた。対円でも日銀の緩和維持決定の発表後に161円台まで急騰したが、その後の円高局面で上値を切り下げた。
加ドルは12月加CPIを受けて1.33加ドル台まで強含む場面があったものの、原油相場の反落を眺めて週後半には1.35加ドルまで加ドル安が進行した。対円では日銀会合後に98円台まで急伸したが、一巡後は94円台まで押し戻された。(了)
(小針)
◆ポンド、北アイルランド問題の解決に向けた動きも注目
◆加ドル、25bp利上げの可能性高まる
予想レンジ
ポンド円 154.50-161.50円
加ドル円 93.50-98.50円
1月23日週の展望
ポンドは英金利先高観を背景に対ドルやユーロを中心に底堅く推移するか。
17日発表の英雇用指標では、9-11月の週平均賃金が前回や市場予想を上回った。英国が欧州連合(EU)を離脱したため同国への移民が減少し、人手不足が深刻化。それが賃金上昇率を上げた要因の1つだ。
労働市場のタイトさが裏付けられた翌日には、12月英消費者物価指数(CPI)が発表された。前年比では10.5%の上昇率と11月から0.2ポイント低下したものの、米国や独・仏などと比べるとインフレ減速の程度はかなり限定的だ。前年比伸び率で1977年以来の高水準を記録している食品・非アルコール飲料などが物価全体の低下を鈍らせているもよう。
これらインフレ情勢を鑑みて、市場では英中銀が2月に50bpの追加利上げを決定するとの見方が優勢。その後も金融引き締めが強化され、高めの金利を維持せざるを得ないとの思惑が強まっている。雇用・物価指標の結果に対し、先週の為替市場はポンド買いで反応しており、大きく状況が変わらない限りは同じような流れが続く可能性が高い。
また、北アイルランド議定書を巡る英・EU協議の行方も注目される。英国外相と北アイルランド担当相は今月第2週、EU側の首席交渉官と問題解決に向けて会談を行った。そこで英国は、EUが求めていた英通関ITシステムへのアクセスを承認。双方の交渉官トップが再び話し合った16日には目立った進展は無かったものの、歩み寄る姿勢が見られつつある。スナク英政権はEUとの関係改善を目指しているとされ、今後の協議次第では合意に向けた動きが速まるかもしれない。
加ドルは25日にカナダ中銀(BOC)が公表する金融政策に要注目。17日発表の12月CPIは前年比が6.3%の伸び率と市場予想の6.4%を下回った。前月6.8%から減速し、全体的なインフレ鈍化が確認されている。もっとも、BOCが注視するCPIトリム平均については、11月分が上方修正され、12月も5.3%と予想比で上振れた。
CPIの結果を受けてカナダ短期金融市場では、BOCによる25bp追加利上げの確率が75%超まで上昇。利上げ幅がほぼ織り込まれるなか、3月以降の会合への注目度も上がっている。先行きの金利見通しを探るうえでも、声明文内容や政策発表後のBOC総裁と副総裁の会見がより重要となってくるだろう。
1月16日週の回顧
ポンドは対ドルや円で買い先行。ベイリー英中銀総裁が週初、「昨年9月以降に高まった英資産のリスクプレミアムが大きく低下した」との見解を示したことが好感された。英インフレ率の高止まりによる金利先高観もポンドの支えとなった。対ドルでは一時約1カ月ぶりとなる1.24ドル台に乗せた。対円でも日銀の緩和維持決定の発表後に161円台まで急騰したが、その後の円高局面で上値を切り下げた。
加ドルは12月加CPIを受けて1.33加ドル台まで強含む場面があったものの、原油相場の反落を眺めて週後半には1.35加ドルまで加ドル安が進行した。対円では日銀会合後に98円台まで急伸したが、一巡後は94円台まで押し戻された。(了)
(小針)