週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、週平均賃金の伸び率に注目

◆ポンド、10日の日米重要イベントの影響を引きずりそう
◆英週平均賃金の伸び率に注目、利上げペースに変化に注意
◆加ドル、雇用統計の結果次第、原油相場も注視

予想レンジ
ポンド円 158.50-165.50円
加ドル円 97.50-101.50円

3月13日週の展望
 ポンドはまず、10日の重要イベント「日銀金融政策決定会合、黒田総裁の記者会見」と「2月米雇用統計」の影響を引きずった動きとなりそうだ。2つの材料はドル円が最も反応しやすく、ポンド円も基本的にはドル円に追随する展開が予想される。ただし、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の半期に一度の議会証言を経て米金利先高観が急速に強まるなか、ポンド売りドル買い意欲も高まったのは確か。先行き円金利への思惑とドル金利の動向で、ポンド円は右往左往させられる可能性が高い。常にそうではあるが、ポジションン管理には注意が必要だろう。

 英国からは14日に雇用関連指標が発表される。注目の1つは3カ月間の週平均賃金(賞与を除く)。前回は前年比6.7%上昇と2021年7月以来の水準まで伸び率を拡大した。直近で最も高い水準を記録した同年6月の7.3%上昇に迫るかが、市場参加者の気にするポイントとなりそうだ。もっとも同日には2月米消費者物価指数(CPI)も発表されるため、英賃金指標に反応した分があっさりと掻き消されてしまうかもしれず、こちらも気を付けねばならない。

 足もとで短期金融市場がイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策をどのように予測しているかを確認してみる。今月と5月の金融政策委員会(MPC)ではそれぞれ0.25%ずつの利上げ。その後の6、8、9月の3会合で合計0.50%の金利引き上げを織り込んでいる。利下げが意識されるのは2024年2月会合辺り。なお、MPC委員の金融政策に関する発言を禁ずるブラックアウト期間は、英中銀スタッフが最新の経済データについて説明する会合(Pre-MPC meeting)から始まる。日時は公表されていないが、13日週の半ば頃が見込まれている。

 加ドルも10日の日米イベントは重要だが、それよりも2月加雇用統計を受けた流れが続くかもしれない。昨年後半から程度の差こそあれ、同統計は予想を上回る結果が続いている。もし強い数値であれば、カナダ中銀(BOC)が8日の声明で余地を残した「再利上げ」を市場が意識し始めることになる可能性もあるだろう。なおBOCは同日、市場予想通りに政策金利を4.50%で据え置いている。また、今週前半から急ピッチで上値を切り下げた原油先物の動向も、産油国通貨でもある加ドルを取引する上では気にすべき材料。中国が経済成長率目標を引き下げたほか、米引き締め長期化による景気低迷への懸念などが原油価格の弱さにつながった。

3月6日週の回顧
ポンドは対ドル主導で下値を試し、昨年11月以来となる1.18ドル前半まで売られた。パウエルFRB議長のタカ派寄り発言を受けて短中期の米金利が大幅に上昇し、ドル買いが一気に進行した。金利高を嫌気したリスク回避の動きもあり、ポンド円は161円台まで水準を下げた。

加ドルは対ドルで1.38加ドル前半と昨年10月以来の加ドル安ドル高を記録した。加ドル円は100円台を維持できず、98円台まで上値を切り下げた。予想通りではあったもののBOCが政策金利を据え置いたことや、売り戻しが強まった原油相場などが加ドルの重しとなった。(了)
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