週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、1月CPIに注目
◆ポンド、低迷の英経済が引き続き足かせに
◆英CPIの伸び鈍化で利上げ停止観測の高まりも重し
◆加ドル、1月CPI次第で3月会合での追加利上げ思惑が強まる可能性
予想レンジ
ポンド円 157.50-163.50円
加ドル円 97.50-101.50円
2月20日週の展望
為替相場は全般的に主要中銀の金融政策見通しを背景とした相場展開が続いている。足もとでは日銀の緩和策の出口戦略への過度な警戒感が和らいでいる一方で、良好な米経済指標の結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが長期化するとの思惑が台頭しており、対円では底堅く、対ドルでは上値の重い動きが見込まれる。ただ、いずれ日銀は金融政策の正常化、FRBは利上げサイクルの終焉に向かうとの見方が市場の基本的なコンセンサスであり、大幅にドル高・円安が進む可能性は低いと見ている。
来週、英国内では2月の製造業・サービス部門PMI速報値の発表が予定されている。低迷している英経済は引き続きポンドの足かせとなる。英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は先週、「英経済は今年リセッションを回避できるが、インフレ高に伴い国民の生活水準は大幅に悪化する」との見方を示し、GDP見通しを昨年11月時点の+0.7%から+0.2%に下方修正した。国際通貨基金(IMF)も先月末にGDP見通しを昨年10月の+0.3%から-0.6%に大幅に引き下げ。主要7カ国(G7)で唯一下方修正した。
英1月CPIは前年比10.1%と伸び率は前月から予想以上に鈍化し、イングランド銀行(英中銀、BOE)が重視するエネルギー・食品・アルコール・たばこを除いたコアCPIも前月の6.3%から5.8%に低下した。BOEの「消費者物価の上昇が一段落した兆候が見られ、利上げの終了が近い」との見方を後押しする内容となったが、依然として2ケタと高止まりしている。
また、加ドルは21日発表予定の1月CPIに注目。カナダ中銀(BOC)は1月会合で政策金利を0.25%引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.50%に決定したが、8日に公表した1月会合の議事要旨では「据え置きも検討した」ことも明らかになった。利上げの停止が示唆されていることもあり、市場では年末に向けて利下げに動くとの見方が強まったが、10日発表の1月雇用統計を受けて、次回3月会合での追加利上げへの思惑も浮上している。
カナダの1月新規雇用者数変化は15万人増と予想を大幅に上回り、5カ月連続の増加となった。失業率も5.0%と予想より強い結果となり、1月雇用データはBOCに利上げの「条件付き一時停止」の再検討を促す圧力となっている。1月CPIがインフレ高への警戒感を強める結果となれば、改めて追加利上げの思惑が高まることになりそうだ。
2月13日週の回顧
予想比上振れの米1月CPIも支えに全般ドル買いが優勢となった。ポンドドルは予想を下回った英1月CPIが重しとなり、1.20ドル割れまで下落した。
加ドルは好調な加雇用データが支えとなるも、ドル高の流れを受けて1.34加ドル台まで加ドル安・ドル高となった。一方で、クロス円はドル円の上昇を支えに底堅い動きとなり、ポンド円は一時162円台、加ドル円は100円台と、ともに昨年12月以来の大台復帰を果たした。(了)
◆英CPIの伸び鈍化で利上げ停止観測の高まりも重し
◆加ドル、1月CPI次第で3月会合での追加利上げ思惑が強まる可能性
予想レンジ
ポンド円 157.50-163.50円
加ドル円 97.50-101.50円
2月20日週の展望
為替相場は全般的に主要中銀の金融政策見通しを背景とした相場展開が続いている。足もとでは日銀の緩和策の出口戦略への過度な警戒感が和らいでいる一方で、良好な米経済指標の結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが長期化するとの思惑が台頭しており、対円では底堅く、対ドルでは上値の重い動きが見込まれる。ただ、いずれ日銀は金融政策の正常化、FRBは利上げサイクルの終焉に向かうとの見方が市場の基本的なコンセンサスであり、大幅にドル高・円安が進む可能性は低いと見ている。
来週、英国内では2月の製造業・サービス部門PMI速報値の発表が予定されている。低迷している英経済は引き続きポンドの足かせとなる。英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は先週、「英経済は今年リセッションを回避できるが、インフレ高に伴い国民の生活水準は大幅に悪化する」との見方を示し、GDP見通しを昨年11月時点の+0.7%から+0.2%に下方修正した。国際通貨基金(IMF)も先月末にGDP見通しを昨年10月の+0.3%から-0.6%に大幅に引き下げ。主要7カ国(G7)で唯一下方修正した。
英1月CPIは前年比10.1%と伸び率は前月から予想以上に鈍化し、イングランド銀行(英中銀、BOE)が重視するエネルギー・食品・アルコール・たばこを除いたコアCPIも前月の6.3%から5.8%に低下した。BOEの「消費者物価の上昇が一段落した兆候が見られ、利上げの終了が近い」との見方を後押しする内容となったが、依然として2ケタと高止まりしている。
また、加ドルは21日発表予定の1月CPIに注目。カナダ中銀(BOC)は1月会合で政策金利を0.25%引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.50%に決定したが、8日に公表した1月会合の議事要旨では「据え置きも検討した」ことも明らかになった。利上げの停止が示唆されていることもあり、市場では年末に向けて利下げに動くとの見方が強まったが、10日発表の1月雇用統計を受けて、次回3月会合での追加利上げへの思惑も浮上している。
カナダの1月新規雇用者数変化は15万人増と予想を大幅に上回り、5カ月連続の増加となった。失業率も5.0%と予想より強い結果となり、1月雇用データはBOCに利上げの「条件付き一時停止」の再検討を促す圧力となっている。1月CPIがインフレ高への警戒感を強める結果となれば、改めて追加利上げの思惑が高まることになりそうだ。
2月13日週の回顧
予想比上振れの米1月CPIも支えに全般ドル買いが優勢となった。ポンドドルは予想を下回った英1月CPIが重しとなり、1.20ドル割れまで下落した。
加ドルは好調な加雇用データが支えとなるも、ドル高の流れを受けて1.34加ドル台まで加ドル安・ドル高となった。一方で、クロス円はドル円の上昇を支えに底堅い動きとなり、ポンド円は一時162円台、加ドル円は100円台と、ともに昨年12月以来の大台復帰を果たした。(了)