週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、3月雇用統計に注目

◆ポンド、対円では本邦年度初めの実需フローを注視
◆加ドル、3月雇用統計に注目 
◆英・加とも週末から休場、連休を控えた持ち高調整に注意

予想レンジ
ポンド円 162.00-168.00円
加ドル円 96.00-100.00円

4月3日週の展望
 ポンドは、対円では本邦実需筋から年度初めに絡んだフローがどの程度出るのか注視したい。また、一時は警戒感が急速に高まった欧米金融機関に対する信用不安が、引き続き後退していくようであれば、リスク志向の動きがポンド相場の支えとなりそうだ。

 なお、英国は日本や豪・加などがメンバーの環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟する見通しとなった。英国は既にTPPに加盟している多くの国と自由貿易協定(FTA)を結び、日本とは更に踏み込んだ経済連携協定(EPA)を締結している。2021年にTPP加入申請を行い、その後の交渉もほぼ問題なく進んでいたようであり、今回の英参加決定はビッグサプライズではない。しかしながら、欧州連合(EU)を離脱した今、英経済にとって好印象を与えるのは確かだろう。もちろん地理的に近いEUとの関係は依然として重要であり、そういった意味でも北アイルランドを巡る問題が2月に前進したことは英経済にとっては大きな意味を持っている。

 英国内に目を向けると、金融監督当局がロンドン株式市場の上場制度の改革を検討していることが報じられた。ロンドンに上場する外国企業が減少しており、ライバルのニューヨーク株式市場との競争に勝つため規制の見直しが求められているようだ。改革の内容次第ではポンドに対する需要に変化がでると思われ、今後も関連ニュースには目を向けておきたい。

 英経済指標では3月製造業とサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)改定値などが発表予定だが、よほど速報値から上下に振れない限り動意は鈍いだろう。週半ばにかけて発表される米労働指標が週末の米雇用統計への思惑に繋がるため、そちらの方が重要視される。
 
 加ドルにとって最大のイベントは、4月6日に発表される3月加雇用統計。新規雇用者数変化は昨年9月から前回2月まで6カ月連続で増加を記録している。それも全て市場予想を上回っており、今回もポジティブサプライズは念頭に置いたほうが良さそうだ。3カ月連続5.0%と強い失業率が、もし昨年7月以来の5.0%割れとなれば、カナダ中銀の利下げを年後半から織り込む短期金融市場も考えを改めるかもしれない。なお、加、英とも4月7日(金)はグッドフライデー、翌4月10日(月)はイースターマンデーで休場。週後半から参加者が減ることが予想され、連休を控えた持ち高調整の動きには注意が必要だろう。

3月27日週の回顧
 ポンドや加ドルは対円で堅調に推移した。米連邦準備理事会(FRB)で銀行監督担当のバー副議長の議会証言を経て、金融システミックリスクへの警戒感が後退。リスク志向の動きが強まったことに加え、本邦年度末に絡んだ円売りも持ち込まれた。ポンド円は159円半ばを底に165円半ば、加ドル円も95円前半から98円後半まで上値を伸ばした。

 ポンドは対ドルでは1.22ドル前半で下値を固め、1.24ドル前半まで上昇した。加ドルは原油先物の反発も背景に対ドルで1.35加ドル前半まで加ドル高に傾いた。(了)
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