週間為替展望(ポンド/加ドル)-英・加 3 月 CPI に注目

◆ポンド・加ドル、ともに3月のCPIに注目
◆ポンド、複数の注目指標で景気動向を確認
◆加ドル、CPIに注目も、原油や他通貨の動きに振られるか

予想レンジ
ポンド円 162.50-168.50円
加ドル円 97.50-101.50円

4月17日週の展望
 欧米銀行危機への不安が和らぎ、市場の目線は再びインフレに絡んだ中銀の金融政策に向けられている。来週、英国・カナダでは3月消費者物価指数(CPI)が発表予定で、結果が中銀の政策変更思惑につながり、ポンドや加ドルともに動意づく可能性がある。

 2月の英CPIは前年比10.4%と伸び率は前回から予想外に拡大。イングランド銀行(英中銀、BOE)が注目するエネルギー・食品・アルコール・たばこを除いたコアCPIも6.2%と伸び率は1月5.8%から加速した。BOEはエネルギー価格の値下がりにより年末には4%を下回ると予測しているが、原油価格は上昇圧力がかかりやすくなっており、インフレ懸念を緩めるのはまだ早い。賃金の伸びは一服したものの、依然として高止まっており、労働需給の逼迫が物価上昇圧力につながる環境は大きく変わっていない。
 
 ベイリーBOE総裁は今週の国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合で、「金利上昇に伴う金融安定性へのリスクによってインフレとの闘いから注意をそらすことはない」と述べた。市場は0.25%の追加利上げを織り込んでいるが、先行きの利上げや利上げ停止についてはて明確な手掛かりを得ていない状況である。

 今週発表の2月GDPは前月比横ばいと予想の+0.1%に届かなかったが、1月は+0.4%に上方修正され、第1四半期の景気後退(リセッション)入りには3月のGDPが-0.6%になる必要があり、その可能性は低下した。来週は3月CPI以外にも同月の雇用データや小売売上高、4月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値など注目指標の発表が予定されており、英景気減速懸念をさらに和らげる結果になるかどうかに注目したい。

 加ドルも3月CPIに注目。加CPIは昨年6月の前年比8.1%をピークに今年2月に5.2%と13カ月ぶりの低水準を記録した。カナダ中銀(BOC)は2会合連続で政策金利を4.50%に据え置き、「CPIが今年半ばに3%程度に急速に減速する」との見方を示した。また、「インフレ低下に勇気づけられている」としながらも、「インフレ率を目標に戻すために、政策金利がより長く制約的である必要」とし、「物価上昇への警戒は崩さず必要になれば利上げを再開する用意がある」と表明。市場が織り込んでいる年内利下げについて、マックレムBOC総裁は「最も可能性の高いシナリオとは思えない」と否定的な見方を示している。

 加ドルは引き続き原油相場や他通貨の動向に振らされる動きとなるが、市場のセンチメント改善で底堅い動きが見込まれる。

4月10日週の回顧
植田日銀総裁が就任会見で緩和策を継続する考えを示したことを受けて円売りが先行し、ポンドドルは166円後半、加ドル円は99円半ばまで上昇した。予想比下振れの米CPI・PPIを背景にドル売りが優勢となり、ポンドドルは1.25ドル前半まで上昇し、ドル/加ドルは1.33加ドル前半までドル安・加ドル高となった。(了)
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