週間為替展望(ポンド/加ドル)-英・加、追加利上げ観測が強まる
◆日銀との政策見通しの格差を意識、対円では堅調維持
◆ポンド、英中銀の引き締め継続観測や英経済への懸念後退が支え
◆加ドル、9月会合での利上げ継続の思惑が台頭
予想レンジ
ポンド円 184.00-189.50円
加ドル円 106.00-110.00円
8月21日週の展望
今週発表された英・加の経済データはイングランド銀行(BOE、英中銀)とカナダ中銀(BOC)が引き締めを続ける可能性を示唆し、日銀との金融政策見通しの格差が意識されている。日本政府・日銀の円買い介入を警戒しつつも、ポンド・加ドルは対円で堅調地合いを維持しそうだ。
今週発表の英賃金・インフレデータはBOEの引き締めペースを再加速させる思惑を強める結果となった。4-6月の賃金(除ボーナス)は前年比7.8%と、2001年に統計を開始して以来最高の伸び率を記録し、インフレの長期化懸念を強める結果となった。また、7月の消費者物価指数(CPI)は予想通り前年比6.8%と前月の7.9%から減速したが、BOEが注視するコアインフレやサービス価格は引き続き上昇圧力が掛かっていることが示された。BOEの次回会合は9月21日に予定されている。9月12日と20日に発表予定の賃金・インフレデータを見極める必要はあるが、市場では既に0.25%利上げと来年3月までの0.50%の追加利上げを完全に織り込んでいる。一部では9月会合での0.50%利上げ思惑もくすぶっている状況だ。BOEの引き締め継続観測や、英6月GDPが予想以上に好調で英経済への過度な懸念が緩んだことが、ポンドの支えとなりそうだ。来週は8月の製造業・サービス部門PMI速報値の発表が予定されている。
加ドルは、カナダ中銀(BOC)が9月会合で追加利上げに踏み切るとの見方が強まっており、底堅い動きが見込まれる。BOCは6、7月に利上げを実施したが、7月会合後に発表された5月小売売上高と6月の雇用データが予想を下回る結果となり、9月は政策金利を据え置くとの見方が強まった。ただ、今週発表の7月CPIが予想を上回る前年比+3.3%と、2年3月ぶりの低水準だった6月の2.8%から伸びが加速。BOCが重視するコア指数も高止まりが示されたことから、一転して追加利上げに踏み切る可能性が高まっている。9月6日の次回会合までは、来週23日に発表予定の6月小売売上高や9月1日の4-6月GDPに注目。金融政策を巡り、経済データの結果をしっかりと確認することになりそうだ。
また、資源国通貨の加ドルにとって上値圧迫要因となるのは中国リスク。中国の景気鈍化が鮮明になるなか、不動産危機が再燃し金融市場への波及も懸念されている。懸念が加速するようであれば、原油相場の下落に伴い、加ドルは売りに押される可能性があるだろう。
8月14日週の回顧
米長期金利の上昇に伴いドルの堅調地合いが続くなか、対ドルでは上値の重い動きとなった。ポンドドルは強い英国の賃金・インフレデータの結果が支えとなるも、1.27ドル台を中心に伸び悩んだ。加ドルは中国景気減速を背景とした原油相場の重い動きも嫌気され、ドル/加ドルは1.35加ドル台半ばまで加ドル安が進んだ。対円では、日銀と主要国との金融政策見通しの格差を意識した円安の流れが続くなか、ポンド円は2015年12月以来の高値水準となる186円台まで上昇。加ドル円は108円を挟んだもみ合いの動きとなっている。(了)
◆ポンド、英中銀の引き締め継続観測や英経済への懸念後退が支え
◆加ドル、9月会合での利上げ継続の思惑が台頭
予想レンジ
ポンド円 184.00-189.50円
加ドル円 106.00-110.00円
8月21日週の展望
今週発表された英・加の経済データはイングランド銀行(BOE、英中銀)とカナダ中銀(BOC)が引き締めを続ける可能性を示唆し、日銀との金融政策見通しの格差が意識されている。日本政府・日銀の円買い介入を警戒しつつも、ポンド・加ドルは対円で堅調地合いを維持しそうだ。
今週発表の英賃金・インフレデータはBOEの引き締めペースを再加速させる思惑を強める結果となった。4-6月の賃金(除ボーナス)は前年比7.8%と、2001年に統計を開始して以来最高の伸び率を記録し、インフレの長期化懸念を強める結果となった。また、7月の消費者物価指数(CPI)は予想通り前年比6.8%と前月の7.9%から減速したが、BOEが注視するコアインフレやサービス価格は引き続き上昇圧力が掛かっていることが示された。BOEの次回会合は9月21日に予定されている。9月12日と20日に発表予定の賃金・インフレデータを見極める必要はあるが、市場では既に0.25%利上げと来年3月までの0.50%の追加利上げを完全に織り込んでいる。一部では9月会合での0.50%利上げ思惑もくすぶっている状況だ。BOEの引き締め継続観測や、英6月GDPが予想以上に好調で英経済への過度な懸念が緩んだことが、ポンドの支えとなりそうだ。来週は8月の製造業・サービス部門PMI速報値の発表が予定されている。
加ドルは、カナダ中銀(BOC)が9月会合で追加利上げに踏み切るとの見方が強まっており、底堅い動きが見込まれる。BOCは6、7月に利上げを実施したが、7月会合後に発表された5月小売売上高と6月の雇用データが予想を下回る結果となり、9月は政策金利を据え置くとの見方が強まった。ただ、今週発表の7月CPIが予想を上回る前年比+3.3%と、2年3月ぶりの低水準だった6月の2.8%から伸びが加速。BOCが重視するコア指数も高止まりが示されたことから、一転して追加利上げに踏み切る可能性が高まっている。9月6日の次回会合までは、来週23日に発表予定の6月小売売上高や9月1日の4-6月GDPに注目。金融政策を巡り、経済データの結果をしっかりと確認することになりそうだ。
また、資源国通貨の加ドルにとって上値圧迫要因となるのは中国リスク。中国の景気鈍化が鮮明になるなか、不動産危機が再燃し金融市場への波及も懸念されている。懸念が加速するようであれば、原油相場の下落に伴い、加ドルは売りに押される可能性があるだろう。
8月14日週の回顧
米長期金利の上昇に伴いドルの堅調地合いが続くなか、対ドルでは上値の重い動きとなった。ポンドドルは強い英国の賃金・インフレデータの結果が支えとなるも、1.27ドル台を中心に伸び悩んだ。加ドルは中国景気減速を背景とした原油相場の重い動きも嫌気され、ドル/加ドルは1.35加ドル台半ばまで加ドル安が進んだ。対円では、日銀と主要国との金融政策見通しの格差を意識した円安の流れが続くなか、ポンド円は2015年12月以来の高値水準となる186円台まで上昇。加ドル円は108円を挟んだもみ合いの動きとなっている。(了)