東京為替見通し=ドル円、明朝のFOMC声明待ち まずは5月輸入物価指数を見極め

 11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下を受けて156.81円まで下落後、米長期金利が低下幅を縮めたことで157.40円まで反発した。ユーロドルは、フランスの政治リスクを懸念した売りで1.0720ドルまで下落した。ユーロ円は168.30円まで下落して前日安値に面合わせした後、169.00円付近まで下げ幅を縮めた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明や3時30分からのパウエルFRB議長の記者会見を控えて動きづらい展開が予想される中、タカ派的なドット・プロット(金利予測分布図)への警戒感から底堅い展開が予想される。

 8時50分に発表される5月企業物価指数(予想:前月比+0.4%/前年比+2.0%)では、輸入物価指数への円安の影響を見極めることになる。4月の輸入物価指数は前月比+1.8%、前年比+6.4%だった。
 5月の輸入物価指数が上昇していた場合、植田日銀総裁が警戒していた円安による輸入物価の上昇という「第1の力」が顕在化することで、明日からの日銀金融政策決定会合での円安抑制措置、すなわち、国債買い入れ金額の減額幅などに繋がる可能性が高まることになる。
 
 10時30分に発表される5月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比+0.4%)や中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲1.5%)では、オンショア人民元やオセアニア通貨への影響を見極めることになる。

 FOMCでは、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きが確実視されており、注目ポイントは、ドット・プロットとパウエルFRB議長の会見となる。タカ派的な内容だった場合でも、ドル円が158円台に乗せるのは、14日に公表される日銀金融政策決定会合の結果を待つことになると思われる。

 日銀金融政策決定会合では、国債買い入れオペの減額の度合い(4~5兆円)や追加利上げの度合い(据え置き、+0.15%~+0.25%)などが注目されている。

 ドット・プロットでは、3月の年内3回の利下げから1-2回へ減ることや、中立金利が2.6%から上方修正される可能性が見込まれている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、11月FOMCとなっており、12月FOMCでは据え置きが見込まれており、ドット・プロットとの整合性が想定されている。

 パウエルFRB議長の会見では、ハト派的な見解として、「忍耐強く政策の効果を待つ必要」や「次の動きが利上げになる可能性は低い」などが想定される。
 タカ派的な見解としては、「最近のデータがわれわれの確信を深めるものでないことは明らか。制約的政策によるインフレ抑制に予想以上に時間がかかる可能性。必要な限り金利を据え置くことが可能」などが想定される。

 先日、パウエルFRB議長の見解を代弁していると思われるウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、「弱い労働指標で利下げ前倒しは可能だが、強い労働市場は必ずしも利下げ先送りとはならず、むしろインフレ次第となる」と述べていた。
 FOMC開催中に発表される米5月CPIの伸び率が大幅に上昇していた場合には、FOMC声明やパウエルFRB議長の会見に影響を及ぼすことになるのかもしれない。



(山下)
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