NY為替見通し=円安地合いは変わらずも160円のOPが壁に、カナダCPIに要注目

 本日のNY市場でのドル円は、159円台でもみ合いになるか。本日を含め3営業日連続で159円後半まで強含んだが、160円を超えることが出来ずに上昇は一服となっている。

 4月29日に介入が行われたのが160円に乗せた後だったことで、心理的な売りが入っているだけでなく、本日から明日・明後日にかけて160.00円にはオプションの設定もあり、このオプションを利用した売りも散見されていることが上値の重しになっているようだ。もっとも、豪ドル円は本日も2007年以来の水準まで買われ、ユーロ円やスイスフラン円も徐々に過去最高値(円の最安値)に接近するなど、円売り意欲は対ドル以外をみても明らかで、円安基調は変わらないだろう。

 また、本邦のインフレ指標も円を買うには力不足だ。本日全国消費者物価指数(CPI)から算出される、刈込平均値、加重中央値、最頻値の5月分を日銀が公表した。日銀が最も注目しているとされる刈込平均値は、前月は2022年7月以来の1.8%まで低下したが今月は2.1%まで上昇した。もっとも、前月を抜かした数値では2022年9月以来の水準となることで、決してインフレ圧力が高まったとも言えず、7月の日銀政策決定会合での日銀の動向を決めつけるほどの結果にはなっていない。更に加重中央値は僅かに上昇したが、最頻値は前月より低下し1.5%になった。今月の日銀政策決定会合後に植田日銀総裁はタカ派発言を繰り返したが、データ的には昨日米格付け会社ムーディーズが「日銀は利上げに時間をかける見通し」との見解を述べたように、早期の利上げを過大に期待するのは難しく、円安基調を変えることが出来ない要因になりそうだ。

 昨日は米国からは主だった経済指標の発表がなかったが、本日は複数の4月住宅指標と6月米リッチモンド連銀製造業景気指数、6月米消費者信頼感指数が発表される。この中では消費者信頼感指数が一番敏感に市場を動意づけるか。先月は同指数が予想を上回ったことで、ドルの買い戻しが入った。大きくセンチメントを作るほどの動きを期待するのは難しいだろうが、念のために注意をしておきたい。また、NY午後に2年債の入札も行われることで、入札結果で米金利が動意づけばドル円も上下しそうだ。

 他通貨ではカナダドルに要注目。本日はカナダから5月の消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想は前月比0.3%、前年比2.6%といずれも前月から伸びがやや低下すると見込まれている。カナダ中銀(BOC)は6月会合で0.25%の利下げに踏み切り、主要7カ国(G7)の先陣を切って金融緩和に着手した。更にインフレが低下した場合は、BOCが示唆したように追加利下げの可能性も高まりそうだ。


・想定レンジ上限
 ドル円は、4月29日高値160.17円。その上は節目の161.00円。
 カナダドル円は、2007年以来の水準となった4月29日高値117.32円。

・想定レンジ下限
 ドル円は、6月21日安値158.67円。
 カナダドル円は、24日安値116.08円。


(松井)
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