週間為替展望(ポンド/加ドル)-英中銀、据え置きも僅差の可能性

◆日米の金融政策にまず注目
◆ポンド、英中銀MPCは据え置きも僅差の可能性 
◆加ドル、中銀の追加利下げ示唆受け上値の重い展開

予想レンジ
ポンド円 195.50.00-200.50円
加ドル円 109.50-113.50円

7月29日週の展望
 ポンドと加ドルともに、31日に公表される日米の金融政策にまず注目。特に今回は、日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁の定例会見がいつも以上に材料視されそうだ。というのも今週、「日銀の金融正常化」に対する観測の高まりを受け、溜まっていた円キャリートレードポジションの巻き戻しが一気に進んだからだ。与党・自民党幹部から日銀への圧力とも受けとれる発言や、「追加利上げ検討」との一部報道が思惑を高めた。

 ただ、日銀会合がタカ派一色になるとは考えづらく、追加利上げを決定した場合でも小幅に留まる可能性がある。正常化に向けてはまだ慎重という姿勢であると市場が認識した場合は、円売り再燃という展開となってもおかしくない。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)に関しては、次回9月に利下げするための地ならし的な会合となりそうだ。声明内容を変えてくることが予想され、タカ派的な文言が削除される可能性が高い。

 8月1日には英中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を公表する。6月消費者物価指数(CPI)の結果から、市場では早期利下げ観測が一時大きく後退した。しかしその後、平均賃金の鈍化や労働市場の冷え込みが確認されると再び緩和期待が浮上。前回の議事要旨では、複数のMPC委員にとって利下げ見送りの決定は「微妙なバランス」と指摘されており、今回の投票結果は前回の7対2より僅差となる可能性もある。足もとの短期金融市場では据え置きがやや優勢となっている。

 加ドルは、カナダ金利先安観の高まりが重しとなりそうだ。カナダ中銀(BOC)は24日、政策金利を市場予想通り0.25%引き下げて4.50%とした。利下げは2会合連続。声明では、「重視するコア指数が数カ月間3%を下回っている」ことを指摘。その上で、「CPIを構成する複数品目の物価上昇度合いは過去の平均水準に近づいている」と述べた。「インフレが来年後半に目標の2%に向け持続的に低下する」という予測を強調。マックレムBOC総裁も「インフレを目標に回帰させる材料は整っているとの確信を強めている」と言及したほか、「インフレが予想通りに緩和すれば、追加利下げが可能」との見解を示している。
 
 市場では、BOCが今年残り3会合(9、10、12月)で2回の0.25%利下げを織り込みつつある。今後もカナダのインフレ指標を精査しながらの判断となるだろうが、経済成長見通しも下方修正したなかで金利は上がりづらいままとなる可能性が高い。加ドルの上値も限られそうだ。

7月22日週の回顧
 ポンド円は203円台から下落し始め、5月半ば以来の196円割れまで売り込まれた。日銀会合への警戒感から全般円高が進んだ流れに沿った。軟調な株式市場もリスク回避の円買いを誘っている。ポンドドルは1.29ドル台で伸び悩み、1.28ドル半ばまで弱含んだ。

 加ドル円は114円後半から約4カ月ぶりに一時110円を下回った。キャリートレード解消の動きが進んだことや、BOCのハト派スタンスが加ドル売り圧力を高めた。加ドルは対ドルでは、1.38加ドル半ばまで加ドル売りが進行した。
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