週間為替展望(ドル/ユーロ)-植田総裁とパウエル議長の発言に注目

◆ドル円、23日の植田日銀総裁とパウエルFRB議長の発言に注目
◆日本の7月CPIや貿易収支、中東の地政学リスクにも注意
◆ユーロ、8月製造業・サービス業PMIを見極め

予想レンジ
ドル円   146.00-152.00円
ユーロドル 1.0700-1.1100ドル

8月19日週の展望
 ドル円は、中東の地政学リスクに警戒しながら、23日に予定されている植田日銀総裁の衆議院財務金融委員会での発言やパウエルFRB議長のジャクソンホール会合での講演を見極めることになる。

 21日に予定されている米労働省の年次改定では、雇用者数が昨年のような下方修正(▲30.6万人)の可能性が警戒されている。もし大幅に下方修正された場合、米国の雇用情勢が公表されてきた数字よりも悪化していたことが判明するため、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅拡大への思惑が強まることになるだろう。また、23日には「金融政策の有効性と伝達の再評価」のテーマで開催されるジャクソンホール会合で、パウエルFRB議長の講演が予定されている。7月FOMC後の記者会見では、9月FOMCでの利下げ開始方針を示唆しているが、利下げ幅などへの言及などがあるのかどうか注目している。

 日本国内では、21日発表の7月貿易収支速報でドル円を下支えしている実需の円売り圧力を確認することになる。また、23日発表の7月コア消費者物価指数(CPI)では、5月の前年比2.5%、6月の2.6%に続いて、伸び率の上昇基調が続くのかを見極めたいところだ。7月の輸入物価指数が10.8%となり、植田日銀総裁が指摘している「第一の力」への警戒感が高まっている。

 更に、23日には衆議院財務金融委員会で植田日銀総裁に対する利上げや株価乱高下に関する意見聴取が予定されている。5日の過去最大の下げ幅を記録した日経平均株価の暴落や、岸田首相の総裁選不出馬表明を受けて、植田日銀総裁の追加利上げ路線が変わらないのか否かに注目しておきたい。

 ユーロドルは、8月の製造業・サービス業PMI速報値を見極めつつ、ユーロ圏の景況感を確認することになる。また、ウクライナ軍がロシアへの越境攻撃に踏み切ったが、ロシアが和平協議に応じる可能性が高まるのか、それとも逆に戦術核の使用に踏み切ることになるのか、予断を許さない状況が続いている。イランがイスラエルに対して報復攻撃に踏み切る可能性も高く、原油価格の急騰リスクなども意識しておく必要がありそうだ。

8月12日週の回顧
 ドル円は、米10年債利回りが3.96%台に上昇した局面で148.22円まで上昇したものの、低調な米7月PPIを受けて下落。岸田首相の総裁選不出馬表明なども売りを後押しすると146.08円まで値を下げた。ただ、その後は好調な米7月小売売上高や米雇用指数を受けて149.39円まで再び買戻されている。ユーロドルは米金利低下を受けて1.0910ドルから1.1047ドルまで上昇したが、その後は再び1.0950ドルまで下押し。ユーロ円は159.79円から163.89円まで上昇した。(了)
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