週間為替展望(ドル/ユーロ)-米雇用統計、FRB議長講演に注目

◆ドル円、米6月雇用統計とパウエルFRB議長の講演に注目
◆6月日銀短観や米6月のISM製造業・非製造業景気指数にも注意
◆ユーロドル、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)を見極め

予想レンジ
ドル円   159.00-163.00円
ユーロドル 1.0400-1.0800ドル

7月1日週の展望
 ドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月のPCEデフレーターに対するパウエルFRB議長の見解を確認した後、6月の雇用統計を見極めることになる。

 7月2日に予定されているパウエルFRB議長の講演では、FRBがインフレ指標として注視している5月のPCEデフレーター(6月28日発表)への見解に注目している。また、6月のISM製造業・非製造業景気指数では、景況感だけではなく、物価指数や雇用指数も見極めることになるだろう。更に、7月5日に発表される6月雇用統計の予想は、失業率は4.0%と5月と変わらずだが、非農業部門雇用者数が18.5万人と5月の27.2万人からの増加幅の減少が見込まれている。5月の雇用統計では、事業所調査の27.2万人に対し、家計調査の就労者は40.8万人の減少とかなり乖離していたことから、エコノミストの間ではどちらが労働市場に関する正確なシグナルなのかという議論が起きた。6月分でも詳細まで確認する必要がありそうだ。

 日本国内に目を向けると、7月1日に発表される6月調査の日銀短観では、注目度の高い大企業製造業で景況感の持ち直しが予想されているが、製造業・非製造業ともに円安に伴う原材料価格上昇が景況感の重石となっていることから、円安の悪影響を見極める必要がありそうだ。また、日本銀行は6月日銀短観を確認したうえで、7月9-10日の債券市場参加者会合でのヒアリングを経て、7月30-31日の日銀金融政策決定会合で国債購入の相応な減額幅を決定する予定だ。

 ユーロドルは、7月7日のフランス下院選挙(決選投票)への警戒感から上値が重い展開が予想される中、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)を見極めることになる。ユーロ圏のインフレ率が5月の前年比2.6%から低下していた場合はユーロ売り。上昇していた場合でも、フランスの政局への警戒感から上値は限定的と予想する。欧州委員会が、フランスやイタリアなど7カ国が財政規律に違反する恐れがあるとし、過剰赤字手続き(EDP)を開始すると勧告。フランスの政局と財政危機への警戒感がユーロの上値を重くする要因となっている。

6月24日週の回顧
 ドル円は、4月29日の年初来高値160.17円を上抜けても本邦通貨当局からのドル売り・円買い介入がなかったことから161.27円まで上昇。1986年12月以来の高値に到達した。ユーロドルは、30日の仏下院選挙(第1回目投票)への警戒感や米10年債利回りの上昇を受けて、1.0746ドルから1.0666ドルまで下落したが、その後は1.07ドル台を回復している。ユーロ円は、円全面安の展開の中で、170.33円から172.38円まで上昇。1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。(了)

(小針)
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