週間為替展望(ドル/ユーロ)-日米の金融政策決定会合に注目

◆ドル円、日米の金融政策に注目
◆日本の1-3月期GDPや米5月CPIにも注意
◆ユーロドル、日米金融政策を受けた米金利動向を見極める展開

予想レンジ
ドル円   153.00-158.00円
ユーロドル 1.0750-1.1000ドル

6月10日週の展望
 ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合での金融政策に注目する展開が想定される。

 11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは既定路線であり、注目ポイントは、ドット・プロット(金利予測分布図)での利下げ開始時期と年内の利下げ回数を見極めることになりそうだ。メインシナリオは、これまで通り3回の利下げだが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、9月か11月のFOMC、そして、年内の利下げ回数は、その時折の米国経済指標の強弱により、1-2回となっている。中央値に変化があるのかどうかがポイントとなるだろう。
 
 米経済指標では、5月の米国消費者物価指数(CPI)や6月のミシガン大学消費者信頼感指数でのインフレ期待がインフレ率の再上昇を示唆した場合、利下げ観測が後退し、利上げ観測が台頭する可能性が高まることで、注目しておきたい。

 13-14日の日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁や内田日銀副総裁の発言を受けて、金融政策の正常化が予想されている。追加利上げが決定された場合、上げ幅は0.15%~0.25%となる予想。また、月6兆円の国債買入れオペの減額幅にも注目したい。リスクシナリオとしては、実質賃金が25カ月連続で前年比マイナスを続けており、日本の1-3月期国内総生産(GDP)がマイナス圏に沈んでいることもあり、政策が現状維持となった場合だろう。また、日本の経済指標では1-3月期GDP改定値が、マイナス成長のままなのか、それともプラス圏に上方修正されるのかを見極めたいところだ。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利下げを示さないタカ派的な利下げが決定されたこともあり、FOMCでのドット・プロットを受けた米10年債利回りの動向に左右される展開が予想される。ユーロ円は、日銀金融政策決定会合での金融政策正常化の内容を見極めて、日本の10年国債利回りの動向に注目していくことになる。

6月3日週の回顧
 ドル円は週明けに157.47円まで上昇後、低調な米5月ISM製造業景況指数や日銀会合で国債買い入れ減額を検討するという観測報道などを受けて154.55円まで下落。その後は新NISAに絡んだ円売りや好調な米5月ISM非製造業景気指数を受けて156.48円まで反発したが、戻りも限定的となっている。
 
 ユーロドルは米長期金利の低下を受けて1.0916ドルまで上昇。その後は戻り売りに押されたものの、ECB理事会でのタカ派的な利下げを受けて、1.0902ドルまで買戻された。(了)
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