NY為替見通し=ドル円、米8月消費者信頼感指数の雇用関連指標に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、中東情勢の動向に警戒しながら、米8月消費者信頼感指数を見極める展開が予想される。

 8月米消費者信頼感指数の予想は100.7で、7月の100.3からの改善が見込まれている。
 1年先のインフレ期待が7月の5.4%からどう変化しているのか、そして、消費者の労働市場に対する認識にも要注目となる。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(「雇用の最大化」と「物価の安定」)の内、「物価の安定」に特段の重点(highly attentive to inflation risks)を置いてきた。しかし、7月FOMCの声明文では、「2大責務の両面のリスクに留意する」(attentive to the risks to both sides of its dual mandate)との文言に変更された。すなわち、リスクバランスはこれまでのインフレ抑制に軸足を置いた状態から、インフレと雇用の間でバランスした状態になった、と判断が修正されたことになる。

 パウエルFRB議長も、先週のジャクソンホール会合での講演で労働市場のさらなる冷え込みを防ぐために「利下げの時が来た」と述べ、9月FOMCでの利下げ開始を示唆した。

 7月の消費者信頼感指数では、職を得るのが「難しい」と考える消費者の割合は16.0%になり、6月の15.7%から増加していた。仕事が「それほど豊富ではない」と考える人の割合も49.9%になり、6月の48.8%から増加していた。
 職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数も18.1となり、6月の19.8から悪化していた。

 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は、昨日、「政策を調整する時期が来ている」と述べ、「労働市場が予想以上に弱まる場合、より積極的になる必要がある」とも発言していた。

 中東情勢に関しては、イランとイスラエルの軍事衝突が第5次中東戦争まで拡大した場合、石油ショックによる円安要因、有事のドル買いの可能性などに警戒しておきたい。
 また、イスラエルの背後には米国、イランの背後にはロシアと中国が控えていることで、軍事衝突が拡大した場合は、湾岸戦争の時のような中東有事のドル売りとなる可能性も念頭に置いておきたい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、146.42円(日足一目均衡表・転換線)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、143.45円(8/26安値)


(山下)
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