週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米8月雇用統計に注目

◆ドル円、米8月雇用統計の失業率に注目
◆米8月ISM製造業・非製造業景気指数、とりわけ雇用指数を注視
◆ユーロドル、7月ユーロ圏生産者物価指数や小売売上高などを見極め

予想レンジ
ドル円   143.00-148.00円
ユーロドル 1.0900-1.1300ドル

9月2日週の展望
 ドル円は、ウクライナ戦争や中東の地政学リスクに警戒しながら、米8月の雇用統計をはじめ、ISM製造業・非製造業景気指数などを見極めることになる。
 米8月雇用統計の予想は、失業率が7月の4.3%から低下して4.2%。非農業部門雇用者数(NFP)は7月の11.4万人からは増加して16.5万人の増加が見込まれている。21日に米労働省が公表した雇用者数の年次ベンチマークの大幅下方修正やWSJ紙が「NFPは雇用者数を過大評価している」と報じているように、市場ではNFPへの信頼感が低下しており、失業率に注目したい。失業率が予想より悪化して4.3%以上だった場合は、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利の0.50%利下げ開始への観測が高まるだろう。また、予想通り4.2%程度だった場合は、0.25%の利下げ見通しのままだと思われる。
 
 また、8月ISM製造業・非製造業景気指数では、ヘッドラインの数字だけではなく、内訳の「物価指数」や「雇用指数」にも注目しておきたい。7月のISM製造業雇用指数は43.3で6月の49.3から低下、非製造業雇用指数は51.1で6月の46.1から上昇していた。なお、8月の米消費者信頼感指数では、職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数は7月の17.1から16.4となり、2021年3月以来の水準に縮小している。

 現在、CMEが算出する「フェドウオッチ」では、年内の利下げ幅は1.0%となり、年末のFF金利誘導目標は4.25-4.50%まで低下すると見込まれている。

 更には、地政学リスクの最悪のシナリオとして、ウクライナ戦争でロシアが戦術核の使用に踏み切る可能性や、イランがイスラエルに対して再度の報復攻撃に踏み切る可能性などには引き続き警戒しておきたい。

 ユーロドルは、8月ユーロ圏生産者物価指数や小売売上高を見極めつつ、9月12日の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げの可能性を探ることになる。また、ウクライナ戦争の地政学リスクにも当然警戒する必要があるだろう。

8月26日週の回顧
 ドル円は、23日のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ開始を示唆したことが意識され週明には一時143.45円まで下落した。ただ、143円台では本邦実需筋からのドル買い需要が根強かったほか、米4-6月期GDP改定値が年率3.0%へ上方修正されたことなどから145円後半まで反発した。ユーロドルは2023年7月以来の高値1.1202ドルまで上昇した後、独8月インフレ率の伸び率鈍化や米10年債利回りの3.88%台への上昇などにより1.10ドル半ばまで反落している。(了)
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