株式明日の戦略-6日ぶりに陽線を形成、ウォルマートの決算は小売株を刺激するか

 19日の日経平均は反発。終値は193円高の38414円。まちまちの米国株を受けても3桁上昇スタート。場中はプラス圏をキープし続けたものの、方向感に欠ける動きが続いた。開始早々に上げ幅を200円超に広げるも、節目の38500円を上回ると上値が重くなって失速。上げ幅を2桁に縮めて10時過ぎには前日終値に接近したが、そこではマイナス圏入りを回避して持ち直した。後場は前引けから水準を切り上げて始まり、13時台半ばには上げ幅を300円超に拡大。ただ、38500円より上は定着せず、14時台に入ると値を消した。結局、寄り付き(38396円)をやや上回る程度で取引を終了。新興銘柄の動きが良く、グロース250指数が1.9%高と相対的に強い動きを見せた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8000億円。業種別では非鉄金属、銀行、保険などが上昇した一方、サービス、電気・ガス、パルプ・紙などが下落した。一部メディアでソニーグループ<6758.T>が買収に向けて協議しているとの観測が報じられたKADOKAWA<9468.T>が、後場に買いを集めてストップ高。半面、KADOKAWA傘下企業と人気ゲームを共同開発しているバンダイナムコホールディングス<7832.T>が、後場に入って大きく崩れた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1080/値下がり502。アドバンテストが全市場の売買代金トップとなって3.7%高。フジクラが7.2%高と人気化した。三井住友やみずほなど銀行株の動きが良く、円安に一服感が出てくる中でもトヨタやホンダなど自動車株に資金が向かった。中期経営計画の財務指標目標を上方修正したアシックスが大幅上昇。「すき家」の一部商品値上げ発表や証券会社による目標株価引き上げが好感されたゼンショーHDが急伸した。

 一方、レーザーテック、ソフトバンクG、リクルートなどグロース株の一角が軟調。日立、NEC、富士通など電機株が売りに押された。原油価格上昇が重荷となり、関西電力や北海道電力など電力株の多くが下落。独禁法違反疑いで公正取引委員会が警告を出す方針と伝わったイトーキが大幅安となった。

 日経平均は反発。ローソク足では6日ぶりに陽線を形成した。実体部分は短く、引けまでどちらに転ぶか微妙ではあったが、それだけに価値のある陽線と言える。とはいえ、きのう18日に422円下げていることを踏まえると、反発力は鈍かった。節目の38500円付近には5日線(38507円、19日時点)が位置しているが、これらを超えてくると上値が抑えられた。

 エヌビディアの決算を消化するのは木曜21日で、あすも基本的には様子見ムードの強い地合いが想定される。米国では本日、ウォルマートが決算を発表予定。決算反応が良ければ、米国の年末商戦に対する期待が高まる。その場合、米国株は下がりづらくなるであろうから、日本株にもプラスの影響が見込まれる。失望決算ならその逆となるが、どちらにしても小売株には大きな動きが出てくる可能性がある。
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