ロンドン為替見通し=ウ・ロ戦争の行方に注意、ECBメンバーの講演やトルコ政策金利

 本日のロンドン為替市場でも、このところ相場を右往左往させているウクライナ・ロシア戦争の行方に注意は必要だろう。ほか、ユーロ圏からは金融当局者の講演が多数予定されており、それぞれのスタンスを見定めながらユーロ相場は上下しそうだ。

 ウクライナは昨日、英国製ミサイルでロシア領内を攻撃。前日の米国製に続く長射程ミサイル使用で、市場ではリスク回避ムードが一時強まった。ロシア側がトランプ次期大統領との停戦協議に前向きな姿勢を見せるなか、話し合いが始まる前に優位な状況をウクライナは作りたいもよう。今後、ロシア領内に向けて西側供与の兵器を頻繁に使い続けるようだと、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)との緊張の高まりは避けられそうにない。

 ウクライナ情勢の悪化を受けて、ロシアと国境を接するフィンランドや地理的に近いスウェーデンでは(どちらもNATO加盟国)、戦争を生き延びるために医薬品や食糧の蓄えを呼びかける冊子が発行された。今日明日でロシアがNATOを相手に何か仕掛けることはないだろうが、欧州では戦火拡大への警戒感が確実に高まっているようだ。

 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの講演はフランス中銀総裁から始まり、タカ派とされるオランダやオーストリアの中銀総裁、そしてハト派のチポローネECB専務理事や
スペインとキプロスの中銀総裁と続く。どちらかと言えばタカ派のエルダーソンECB専務理事も発言予定。それぞれの金融姿勢と方向性が違う発言がでれば、ユーロは敏感に反応するかもしれない。

 ほか、トルコ中銀が日本時間20時に政策金利を公表予定。主要金利は50%で据え置きが大方の予想であり、こちらはサプライズなしだろう。足もとのインフレ率が48%台と減速ペースが落ちてきており、声明でフォワードガイダンスに変化があるか、またカラハン・トルコ中銀総裁の見解などがリラ相場の材料となるか。


想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0613ドル
・リラ円、15日高値4.55円

想定レンジ下限
・ユーロドル、2023年10月3日安値1.0448ドル
・リラ円、5日安値4.40円



(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。