NY為替見通し=トランプトレードでのドル円の買い意欲は根強いか、米雇用指標に注目

 本日のNY時間のドル円も引き続き神経質な動きとなるだろうが、下落局面での買い意欲は根強いか。

 連日値幅を伴った値動きを繰り返しているが、アジア時間では日米中央銀行関係者の発言ではドル売り・円買いの要素が高かった。植田日銀総裁のパリ・ユーロプラス「ファイナンシャル・フォーラム」で講演では、12月までの指標結果次第では今後の政策金利の変更を示唆したことで、やや円買いと捉えられた。一方で、バロンズ社とのインタビューでウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「金利はさらに低下する可能性がある」「ディスインフレは続くだろう」などの発言が伝わったことはドル売り要因となっている。昨日は155.89円までドル円は上昇し、市場がブル志向となっていたこともあり、これらの発言で154円割れ手前まで下落し、ロングポジションを振り落とした結果になっている。

 日米の金融政策の発言ではドル円は売り要因ではあるが、市場の間ではトランプトレードによる米金利上昇・ドル買いというトレンドは変わらないとの意見が多く、下落局面では買い意欲はなかなか引かないとも思われる。
 その中で本日は米国から雇用指標(前週分の米新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数)が発表されることで、同指標の結果には目を向けておきたい。昨日ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は「経済は好調で、労働市場は完全雇用に近い」と述べたほか、クックFRB理事も「雇用市場が依然として堅調な場合は、利下げ一時停止のシナリオが考えられる」とも発言している。両理事の予想通りに雇用指標が好結果だった場合のほうが市場は反応しやすく、ドル円は買われやすくなりそうだ。

 ウクライナ情勢についても引き続き注目をしておきたい。今週は19日には米国製地対地ミサイルATACMSでロシア領を攻撃したことで、ドル円は153.29円まで下落した。本日もロシアのICBM発射で円買いが強まっている。ただし、ATACMS攻撃の翌日にはドル円の下げ幅をすべて取り戻すなど、円買いの勢いは比較的に短時間で終わっている。核攻撃などの過激化した場合は市場も大きく反応すると思われるが、今後も攻撃の内容によりドル円への影響は強弱分かれそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、東京時間午後の高値155.26円近辺。その上は20日高値155.89円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、19日安値153.29円。


(松井)
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