NY為替見通し=政局混迷を嫌気しドル円は底堅いか、米債入札に要注目

 ドル円は引き続き下値の堅い展開が予想される。週末に行われた衆議院選挙では、与党(自民党、公明党)の合計獲得議席が215議席となり、過半数(233議席)には議席数が不足している。与党系無所属の当選の6人を追加公認した場合でも221議席にとどまり、過半数に届かないのが現状だ。連立を組む場合には、第2自民党とも呼ばれている維新(38議席)、国民民主(28議席)が有力か。この中で一部報道では国民民主党との接近を目論んでいるとされているが、国民民主党は低金利を維持した政策をとる方針を示している反面、消費税を5%へ引き下げを主張し歳出拡大路線となっている。現時点では玉木代表は連立を否定しているが、今後の展開が要注目となる。

 日本人でも今後の政局だけでなく永田町の論理を理解するのが難しい状況で、NY時間で海外勢が深く政局を読み解くのは難しいだろう。今後の政局が混迷を深めることは避けられないことで、ドル円は下がった場合の買い意欲は根強くなると思われる。

 水準的には、7月末に行われた日銀政策決定会合後の高値まで上昇したことで、通常ならば為替介入もしくは口先介入の強化となる水準でもある。石破首相が、衆議院選挙で勝つために利上げ容認による株価の急落を食い止めようと、利上げに対して否定的な(「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」)発言をしてからの円安が止められない。7月の日銀による利上げで、これまで十数年続いたアベノミクス・黒田バズーカの円安の弊害に、ようやく終止符が打たれたと思った矢先に、すべてをぶち壊してしまった。現財務相の加藤議員は政策通と呼ばれ、一部ではポスト石破として担ぎ上げらえるとの声も出ている。このような政局が混迷化し、米大統領選挙を前にしている状況下では、財務相は為替介入には積極的に動けないのではないかとの声も出ている。

 本日は米国からは市場を動意づけるような経済指標の発表予定はないが、2年債と、5年債の入札が行われる。入札結果次第ではドル円も動意づくこともありそうだ。なお、今週は週半ばからは米国から市場を動意づけるような注目イベントが豊富だ。明日29日に9月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、30日に7-9月期米国内総生産(GDP)速報値、同期米個人消費支出(PCE)デフレーター、31日に9月米PCEデフレーター、1日に10月米雇用統計などが発表される。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、近場では本日高値で7月の日銀政策決定会合後の高値でもある153.88円。その上は7月30日高値155.22円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、本日安値152.47円。その下は200日移動平均線151.45円。

(松井)
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