ロンドン為替見通し=経済指標で英欧景気動向を見定め、ECB総裁・副総裁の講演予定

 本日のロンドン為替市場では、複数の経済指標を受けた英欧の景気動向を見定めながらの取引か。また、今週相場の波乱要因となっているウクライナ・ロシア戦争の行方も引き続き注意しておきたい。

 欧州序盤には英国の10月小売売上高が発表される。前月比では総合・除く自動車ともに前回プラスからマイナスに下振れが見込まれている。このマイナス幅がどこまで深掘りされるかがポイントか。もっとも過去2カ月は予想比で上振れる結果が出ており、ポジティブサプライズもあり得ることは念頭に入れておきたい。

 英国からはまた、製造業とサービス部門の11月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。こちら製造業PMIの市場予想は50.0と前回から僅かながら改善が期待されている。もし景況判断の境目となる50を少しでも上回ることができれば、ポンドドルの底打ち感に繋がるかもしれない。

 同じく、フランスやドイツそしてユーロ圏からも11月製造業・サービス部門PMI速報値が発表される。製造業についてはここ数カ月下げ止まったとはいえ、水準的には低調なまま。回復の兆しが見えるのか確認したい。サービス部門では、10月速報値で予想を大きく下回ったフランスの結果が注目ポイントの1つだろう。

 また、欧州中央銀銀行(ECB)のラガルド総裁やデギンドス副総裁の講演も行われる。欧州金利先安観が根強く残るなか、ECBの中心メンバーである両氏の先行き見通しには市場の目が集まるだろう。2022年10月以来の水準まで低下してきたユーロドルに関するコメントも出るかもしれない。

 昨日のロシアからウクライナに発射されたミサイルについては、プーチン露大統領は新開発の中距離弾道ミサイルと言い、ウクライナ側は大陸間弾道ミサイル(ICBM)だと主張している。いずれにせよ、週末にかけても両国の戦闘は激しさを増す可能性が高い。地政学リスクへの警戒感が一層高まるようだと、ユーロやポンドの上値は重いままだろう。

想定レンジ上限
・ポンドドル、20日高値1.2715ドル
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0563(21日安値1.0462ドルを下回ると水準切り下げ)

想定レンジ下限
・ポンドドル、5月9日安値円1.2446ドル
・ユーロドル、2022年12月1日安値1.0394ドル


(小針)
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