株式明日の戦略-5日続落も下げ渋る、バリュー優位の傾向が強まるか

 19日の日経平均は5日続落。終値は268円安の38813円。FOMCを消化した18日の米国市場では、先の利下げペースが鈍化することへの警戒からダウ平均が4桁の下落となった。米国株の大幅安を嫌気して寄り付きから500円を超える下落となり、開始早々には下げ幅を700円超に広げた。

 38300円台で売りが一巡し、安値は早い時間につけた。幾分戻して前引けは373円安の38708円。昼休みに入って早々に、日銀が金融政策の現状維持を発表した。発表後に先物が上昇し、ドル円が円安に振れたことから、後場は前引けから100円以上水準を切り上げて始まった。ただ、その後は植田総裁会見を前に様子見姿勢が強まり、動意薄の状態が長く続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆2200億円。業種別では海運、銀行、保険などが上昇した一方、電気・ガス、不動産、非鉄金属などが下落した。日銀は利上げを見送ったが、三菱UFJ<8306.T>や三井住友<8316.T>など銀行株が後場に入って動きが良くなった。一方、三井不動産<8801.T>や三菱地所<8802.T>など不動産株は後場に一段安となっており、先の利上げを意識したような動きが見られた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり770/値下がり813。前日新規上場のキオクシアが7.4%高。前日ストップ高となった日産自動車に追随買いが入り、商いも膨らんだ。IHIや川崎重工など防衛株が大幅上昇。証券会社のリポートを材料にフジメディアや日テレなどテレビ局株に資金が向かった。第一生命との資本業務提携を発表したAnd Doがストップ高となった。

 一方、ナスダックが大幅安となったことで、ソフトバンクGやレーザーテックなどグロース株が大幅安。証券会社が目標株価を引き下げた住友林業は、米長期金利の上昇が米国住宅販売に逆風との見方も強まり、7%を超える下落となった。前日ストップ高の三菱自動車は日産自動車が一段高となったのとは対照的に大幅安。第三者割当増資や今期の最終赤字見通しが嫌気された東邦亜鉛がストップ安となった。

 本日はグロース市場に2社が新規上場。delyは公開価格割れからのスタートとなったが、終値は初値を上回った。Synspectiveは高い初値をつけたものの、終値は初値を下回った。

 日経平均は5日続落。日銀はノーサプライズであったが、米国株がFOMCを消化して大きく下げたことから、終日軟調に推移した。ただ、ローソク足では陽線を形成。75日線(38477円、19日時点、以下同じ)を割り込んだところで切り返し、終値(38813円)では25日線(38852円)付近まで戻している。値上がり銘柄も結構多く、ネガティブな材料があった割には底堅い動きであった。

 18日の米国株は大幅安となったが、引け後のマイクロン・テクノロジーの決算は消化していない。マイクロンは時間外で急落しているだけに、本日の米国株、特にナスダックにはネガティブな影響が及ぶと考えられる。今回のFOMCを受けて、市場参加者は2025年の米国の利下げペースがかなりマイルドになることを意識した。そうなるとグロース株は手がけづらくなる。目先はバリュー株が相対優位となるだろう。
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