ロンドン為替見通し=欧州のインフレ動向に注目、スイスフランの買いづらさ継続か

 本日のロンドン為替市場でユーロやスイスフランは、インフレ動向に注目しながらの取引となりそうだ。また、昨年7月以来の高値を更新したドル円の方向性も目を向けておきたい。なお昨日は、仏・独・ユーロ圏の12月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値の上方修正をきっかけにユーロ買いが強まった。

 本日はまず、12月スイス消費者物価指数(CPI)が発表される。前月比予想が-0.1%と低調なまま、前年比も+1%を割り込んだ水準で鈍化が見込まれている。今年最初のスイス中銀(SNB)金融政策決定会合は3月であり、それまでに次の一手を考える時間はまだある。とはいえディスインフレ基調の強まりを確認となれば、スイス利下げペースの速まりが意識され、スイスフランは買いづらいだろう。

 ユーロ圏からはまず、フランスの12月CPIが発表予定。こちらは前月比が前回マイナスからプラス回復が見込まれ、前年比は+1%台ではあるが加速予想。その後にユーロ圏の同月消費者物価指数(HICP)が明らかになるため、仏インフレへの反応は限定的か。12月HICPは前年比が+2.4%と前回から0.2ポイント上回るというのが市場の見立てだ。

 ユーロ圏インフレが予想通りであれば3カ月連続の加速となり、水準としても7月以来の高い値だ。米国で保護主義色が強いトランプ政権が誕生すると、欧州インフレも先行き不透明感が強まると当局者は懸念している。欧州金利先安観の後退との思惑がインフレ指数確認後に広まってくるかもしれない。

 ところで、欧州の天然ガス価格の指標とされる「オランダTTF天然ガス先物」の期先限月は昨日、前日比5%弱低下して終えた。ロシア国営企業ガスプロムがウクライナ経由での天然ガス輸出を停止したが、足もとでは需給ひっ迫への懸念は後退しつつあるもよう。

想定レンジ上限
・ユーロドル、昨年12月30日高値1.0458ドル
・ドルスイスフラン、昨年5月24日高値0.9158フラン

想定レンジ下限
・ユーロドル、昨日安値1.0295ドル
・ドルスイスフラン、昨年12月24日安値0.8983フラン


(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。