週間為替展望(豪ドル/ZAR)-南ア、VAT引き上げ撤回の影響注視
◆豪ドル、重要指標発表予定も関税相場は変わらず
◆豪ドル、週末の総選挙には警戒
◆ZAR、VAT引き上げ撤回で予算再編成などの政治的混迷が重し
予想レンジ
豪ドル円 88.00-93.00円
南ア・ランド円 7.30-7.80円
4月28日週の展望
豪ドルは、リスク許容度に敏感なため、来週も関税に関する報道で上下を繰り返すことになる。今週に入り、トランプ米大統領は「対中関税は大幅に下がるだろう」と発言し、中国との関税合戦を回避する姿勢を見せた。ただ、市場ではこの発言を完全に織込んではいない。対中赤字解消や、米国への製造業回帰を目論んでいる米政府にとって、対中政策を弱腰の姿勢で臨むことは考えにくい。仮に、対中政策で甘い対応を取った場合には、他国との交渉にも影響を与えることにもなり、今回の発言はあくまでも大幅に売られた米株や米債に対しての対策と受け止める市場参加者が多いようだ。これまでも、トランプ大統領は対立軸を作ることで、支持率を獲得する方法を繰り返してきている。バイデン政権という国内の対立軸への批判が賞味期限切れとなりつつある中で、中国という対立軸を失うことは難しい。リスク回避的な動きが継続されれば、豪ドルは特に対円では重くなりそうだ。
来週は豪州国内では、30日に3月消費者物価指数(CPI)と1-3月期CPI、5月1日に3月貿易収支、5月2日に3月小売売上高、1-3月期小売売上高、1-3月期卸売物価指数(PPI)など、通常であれば注目度が高い経済指標の発表が相次ぐ。ただ、豪州だけでなく世界中が米国の相互関税の影響により、今後のインフレ動向が不透明であり、第1四半期のインフレ指標等で反応するのは難しいかもしれない。また、週末の5月3日には豪州の総選挙が行われる。直近の市場調査では与党・労働党が僅差ながらリードしている。ただ、接戦になり、いずれの政党も単独で政権樹立ができなければ、少数政党との連立が求められることになる。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限定的となりそうだ。ここ最近は、国内要因よりも国外要因で左右する相場展開が続いてきた。ただ来週は、ゴドンワナ南ア財務相が5月1日に予定されていた付加価値税(VAT)引き上げを突如撤回したことで、南アの予算問題と財務相の責任問題が注目される。予算はVATの引き上げ撤回により、これまで予定されていた支出の調整が不可避。国民統一政府(GNU)は対応に追われることになるだろう。VAT引き上げ撤回で民主同盟(DA)の連立離脱は回避される見通しだが、GNU内の予算再考で政治的混乱が続くだろう。なお、来週の経済指標では、29日に貿易収支、30日に3月月次財政収支が発表される予定。
4月21日週の回顧
豪ドルは対ドルではほぼ横ばい、対円では小幅高。豪ドル円は週前半にドル円の下げに連れて90円を割り込んだ。ただ、トランプ政権が対中関税の引き下げを示唆したほか、「パウエルFRB議長を解任する計画がない」と発表し、米トリプル安回避のための発言が伝わると買い戻された。ZARは堅調。米国の中国への圧力緩和により、リスク選好の動きがZARを支えた。3月のCPIは2020年6月のコロナウイルス・パンデミック以来となる水準まで低下したが、市場の反応は限られた。また24日にはVAT引き上げが撤回された。(了)
(執筆:4月25日、9:00)
◆豪ドル、週末の総選挙には警戒
◆ZAR、VAT引き上げ撤回で予算再編成などの政治的混迷が重し
予想レンジ
豪ドル円 88.00-93.00円
南ア・ランド円 7.30-7.80円
4月28日週の展望
豪ドルは、リスク許容度に敏感なため、来週も関税に関する報道で上下を繰り返すことになる。今週に入り、トランプ米大統領は「対中関税は大幅に下がるだろう」と発言し、中国との関税合戦を回避する姿勢を見せた。ただ、市場ではこの発言を完全に織込んではいない。対中赤字解消や、米国への製造業回帰を目論んでいる米政府にとって、対中政策を弱腰の姿勢で臨むことは考えにくい。仮に、対中政策で甘い対応を取った場合には、他国との交渉にも影響を与えることにもなり、今回の発言はあくまでも大幅に売られた米株や米債に対しての対策と受け止める市場参加者が多いようだ。これまでも、トランプ大統領は対立軸を作ることで、支持率を獲得する方法を繰り返してきている。バイデン政権という国内の対立軸への批判が賞味期限切れとなりつつある中で、中国という対立軸を失うことは難しい。リスク回避的な動きが継続されれば、豪ドルは特に対円では重くなりそうだ。
来週は豪州国内では、30日に3月消費者物価指数(CPI)と1-3月期CPI、5月1日に3月貿易収支、5月2日に3月小売売上高、1-3月期小売売上高、1-3月期卸売物価指数(PPI)など、通常であれば注目度が高い経済指標の発表が相次ぐ。ただ、豪州だけでなく世界中が米国の相互関税の影響により、今後のインフレ動向が不透明であり、第1四半期のインフレ指標等で反応するのは難しいかもしれない。また、週末の5月3日には豪州の総選挙が行われる。直近の市場調査では与党・労働党が僅差ながらリードしている。ただ、接戦になり、いずれの政党も単独で政権樹立ができなければ、少数政党との連立が求められることになる。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限定的となりそうだ。ここ最近は、国内要因よりも国外要因で左右する相場展開が続いてきた。ただ来週は、ゴドンワナ南ア財務相が5月1日に予定されていた付加価値税(VAT)引き上げを突如撤回したことで、南アの予算問題と財務相の責任問題が注目される。予算はVATの引き上げ撤回により、これまで予定されていた支出の調整が不可避。国民統一政府(GNU)は対応に追われることになるだろう。VAT引き上げ撤回で民主同盟(DA)の連立離脱は回避される見通しだが、GNU内の予算再考で政治的混乱が続くだろう。なお、来週の経済指標では、29日に貿易収支、30日に3月月次財政収支が発表される予定。
4月21日週の回顧
豪ドルは対ドルではほぼ横ばい、対円では小幅高。豪ドル円は週前半にドル円の下げに連れて90円を割り込んだ。ただ、トランプ政権が対中関税の引き下げを示唆したほか、「パウエルFRB議長を解任する計画がない」と発表し、米トリプル安回避のための発言が伝わると買い戻された。ZARは堅調。米国の中国への圧力緩和により、リスク選好の動きがZARを支えた。3月のCPIは2020年6月のコロナウイルス・パンデミック以来となる水準まで低下したが、市場の反応は限られた。また24日にはVAT引き上げが撤回された。(了)
(執筆:4月25日、9:00)