週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、利下げは織り込み済み
◆対円、円ロングポジション解消の加速に警戒
◆ポンド、8日の英中銀会合での利下げはほぼ織り込み済み
◆加ドル、米加首脳会談に注目
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 103.00-107.00円
5月5日週の展望
米関税の霧は晴れず、世界経済見通しも悲観的で警戒感は続くものの、関税に動揺する相場はひとまず落ち着いてきている。日銀は今週の金融政策決定会合で経済・物価の見通しを引き下げ、さらに「下振れリスクが大きい」と指摘した。市場では利上げ期待が後退し、円が急落したが、来週も膨らんでいる円ロングポジションの解消が一段と進む可能性はある。
8日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表を控えているが、市場は0.25%の利下げをほぼ織り込んでいる。金融政策決定を控えるなか、国際通貨基金(IMF)はトランプ米大統領の関税・通商政策の影響で今年の世界と英国の成長率が急激に下振れるリスクを指摘し、ベイリーBOE総裁は「経済成長に対するリスクを極めて重大に受け止めなければならない」と述べた。
英国では4月から家計向けの光熱費と水道料金が値上がりした。加えて社会保障費の雇用主負担の増加、賃金上昇もインフレ押し上げ要因となる。インフレ高への警戒感が残されるなか、トランプ関税のインフレへの影響や不確実性も極めて高く、BOEは難しい舵取りを迫られている。今後、英政府と米国が関税合戦になればインフレの押上げ懸念が高まるが、他国からの輸入が米国からの輸入障壁回避のために再配分された場合は、逆にインフレが低下する可能性もある。
加ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週発表の2月GDPは前月比-0.2%、前年比1.6%と前月から予想以上に伸びが鈍化した。9日には4月雇用データの発表が予定されており、低調な結果となれば、カナダ中銀(BOC)が次回6月会合で利下げを再開し、0.50%の大幅利下げに踏み切るとの思惑が高まる可能性がある。BOCは関税による不透明感を要因に利下げを見送っているが、「景気悪化の懸念が強まれば素早く対応する」と強調している。
また、4月28日のカナダ総選挙で「反トランプ」を強調したカーニー首相が率いる与党・自由党が勝利し、米加の関税合戦がエスカレートする可能性も加ドルの重しとなる。総選挙ではカーニー政権の対米報復関税など「米国に屈しない」姿勢が評価されたこととなり、今後もトランプ関税との戦いに強気で向かっていきそうだ。来週、カーニー加首相は米国を訪問する予定で、米加首脳会談が注目される。トランプ米大統領は今週、「カナダとは素晴らしい関係を築けると思う」「カーニー加首相と昨日電話会談し、合意を結ぼうと言った」と述べたが、発言の信用性は低い。会談がうまくいかなかっ場合には、またすぐにも攻撃に走ると予想される。
4月28日週の回顧
関税不安を背景としたドル売りが一服し、ポンドドルは1.34ドル半ばを頭に1.32ドル台に押し戻された。加ドルは総選挙で与党の議席が過半数には届かないとの報道を受けてやや売りが入る場面もあったが、トランプ米大統領がカナダとのディールに前向きな発言をしたことを受けて買いが入り、ドル/加ドルは一時1.37加ドル台まで加ドル高が進んだ。対円では、日銀の金融政策イベント後に円が急落。ポンド円は193円台、加ドル円は105円台まで急伸した。(了)
(執筆:5月2日、9:00)
◆ポンド、8日の英中銀会合での利下げはほぼ織り込み済み
◆加ドル、米加首脳会談に注目
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 103.00-107.00円
5月5日週の展望
米関税の霧は晴れず、世界経済見通しも悲観的で警戒感は続くものの、関税に動揺する相場はひとまず落ち着いてきている。日銀は今週の金融政策決定会合で経済・物価の見通しを引き下げ、さらに「下振れリスクが大きい」と指摘した。市場では利上げ期待が後退し、円が急落したが、来週も膨らんでいる円ロングポジションの解消が一段と進む可能性はある。
8日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表を控えているが、市場は0.25%の利下げをほぼ織り込んでいる。金融政策決定を控えるなか、国際通貨基金(IMF)はトランプ米大統領の関税・通商政策の影響で今年の世界と英国の成長率が急激に下振れるリスクを指摘し、ベイリーBOE総裁は「経済成長に対するリスクを極めて重大に受け止めなければならない」と述べた。
英国では4月から家計向けの光熱費と水道料金が値上がりした。加えて社会保障費の雇用主負担の増加、賃金上昇もインフレ押し上げ要因となる。インフレ高への警戒感が残されるなか、トランプ関税のインフレへの影響や不確実性も極めて高く、BOEは難しい舵取りを迫られている。今後、英政府と米国が関税合戦になればインフレの押上げ懸念が高まるが、他国からの輸入が米国からの輸入障壁回避のために再配分された場合は、逆にインフレが低下する可能性もある。
加ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週発表の2月GDPは前月比-0.2%、前年比1.6%と前月から予想以上に伸びが鈍化した。9日には4月雇用データの発表が予定されており、低調な結果となれば、カナダ中銀(BOC)が次回6月会合で利下げを再開し、0.50%の大幅利下げに踏み切るとの思惑が高まる可能性がある。BOCは関税による不透明感を要因に利下げを見送っているが、「景気悪化の懸念が強まれば素早く対応する」と強調している。
また、4月28日のカナダ総選挙で「反トランプ」を強調したカーニー首相が率いる与党・自由党が勝利し、米加の関税合戦がエスカレートする可能性も加ドルの重しとなる。総選挙ではカーニー政権の対米報復関税など「米国に屈しない」姿勢が評価されたこととなり、今後もトランプ関税との戦いに強気で向かっていきそうだ。来週、カーニー加首相は米国を訪問する予定で、米加首脳会談が注目される。トランプ米大統領は今週、「カナダとは素晴らしい関係を築けると思う」「カーニー加首相と昨日電話会談し、合意を結ぼうと言った」と述べたが、発言の信用性は低い。会談がうまくいかなかっ場合には、またすぐにも攻撃に走ると予想される。
4月28日週の回顧
関税不安を背景としたドル売りが一服し、ポンドドルは1.34ドル半ばを頭に1.32ドル台に押し戻された。加ドルは総選挙で与党の議席が過半数には届かないとの報道を受けてやや売りが入る場面もあったが、トランプ米大統領がカナダとのディールに前向きな発言をしたことを受けて買いが入り、ドル/加ドルは一時1.37加ドル台まで加ドル高が進んだ。対円では、日銀の金融政策イベント後に円が急落。ポンド円は193円台、加ドル円は105円台まで急伸した。(了)
(執筆:5月2日、9:00)