NY為替見通し=ドル円、G7声明での為替文言変更懸念で上値が重い展開か

 本日のNY為替市場のドル円は、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による「不確実性」や利下げ時期への言及を見極めつつ、G7会議や日米財務相会談への警戒感から上値が重い展開が予想される。

 本日から22日にかけてカナダでG-7財務相・中央銀行総裁会議が開催され、加藤財務相は、日米財務相会談でベッセント米財務長官と「為替含め2カ国間の諸問題を議論」する、と述べている。
 米財務省は、ベッセント米財務長官は、G-7参加国の日本、カナダ、英国、フランス、イタリア、ドイツに対して、中国などの非市場経済国による「世界経済の不均衡の原因となっている不公正な経済政策に対処するよう働きかける」との見通しを示した。
 そして、いかなる貿易交渉の合意も発表されるとは考えておらず、米国の利益に資するものでない限り会議の共同声明には同意しない姿勢が示された。

 リスクシナリオは、貿易赤字の削減を目論んでいる米国の意向に沿って、為替政策に関する文言が変更される可能性となる。すなわち、貿易不均衡の是正に向けて、ドルに対して他通貨が秩序立って上昇することを促す可能性などが警戒されている。

 また、今週末には第3回日米通商交渉が予定されているが、赤沢経済再生相は、19日から米国ワシントンで事務レベル協議を実施していることを明らかにしている。
 すなわち、ベッセント米財務長官は、日米財務相会談で加藤財務相と為替協議を行い、日米通商交渉で赤沢経済再生相と関税などの協議を行うことで、ドル円は様子見の展開とならざるを得ない。一部報道では、ベッセント米財務長官が第3回日米通商交渉には参加しない、とのことで、事務レベル協議でほぼ合意に至っている可能性には警戒しておきたい。

 4月カナダ消費者物価指数(CPI)は、前年比+1.6%と予想されており、3月の同比+2.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。しかし、3月CPIでは、カナダ中銀が注視しているCPI中央値やトリムは高止まりしていたため、4月CPIのコア指数に注目しておきたい。
 来月のカナダ中銀金融政策決定会合での0.25%利下げが予想されているが、コア指数次第では利下げ観測が後退する可能性に警戒しておきたい。


・想定レンジ上値目処(めど)
 ドル円: 146.05円(日足一目均衡表・転換線)
 加ドル円:104.85円(日足一目均衡表・雲の上限)

・想定レンジ下値目処(めど)
 ドル円: 143.45円(5/8安値)
 加ドル円:102.50円(4/29安値)

(山下)
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