週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、BOC会合に対する思惑で上下
◆ポンド、4月のインフレが想定以上に加速し早期利下げ観測が後退
◆ポンド、英EU首脳会談での関係再構築はプラス材料に
◆加ドル、コアCPI上振れで判断難しいなかBOC会合に対する思惑で上下
予想レンジ
ポンド円 191.50-196.50円
加ドル円 102.50-106.50円
5月26日週の展望
英国は週明け26日がスプリング・バンク・ホリデーで休場であり、その後も重要な経済指標は予定されていない。そのためポンドは、今週の材料を再確認しながらの取引となるだろう。
21日発表の4月消費者物価指数(CPI)は総じて想定以上の上昇となった。総合が前年比3.5%と2024年1月以来、コアも3.8%と1年ぶりの高い水準を記録。4月に引き上げられた「電気・ガス・水道料金」や「社会保障料の事業者負担」の影響は予想より強かった。英中銀が基調的な指標として注視するサービス価格インフレ率も5.4%と見込み以上に上昇した。これらを受け、市場では、年末までの0.25%追加利下げ回数について、2回から1回との予想に変更している。暫くは、早期利下げ観測の後退がポンドの下値を支えることになりそうだ。
一方、翌22日に発表された5月購買担当者景気指数(PMI)速報値はまちまちな結果に。サービス部門は50.2と予想や前回から上振れたが、製造業が45.1と予想より弱く、更に前回値も下回った。この辺りが積極的にポンドの上値を追えない要因となっている。
なお、ロンドンでは今週、英・欧州連合(EU)首脳会合が開かれた。2020年に英国がEUを離脱して以降、初めての首脳会合となったが、「防衛・安全保障、漁業、食品輸出および渡航規制の緩和」に関する合意に達した。国内から批判はあるものの、英国にとって最大の貿易相手であるEUとの関係再構築はポンドに対してはポジティブな材料だろう。
加ドルは、来月4日のカナダ中銀会合に対する思惑で上下する展開を予想している。20日の4月CPIは前年比1.7%と予想を僅かに上回ったが、前回の2.3%からの減速は確認できた。市場が気にしたのは、コアCPIの加速。中央値は3.2%と前回から0.4ポイント上昇し、トリムも3.1%と1年1カ月ぶりの高水準を記録した。短期金融市場では、これまで60%以上だった6月会合の利下げ確率が30%弱まで低下。中銀の判断が難しくなるなか、早期利下げに踏み切るには景気減速を裏付けるデータが必要だろう。そうなると、来週30日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)の結果がこれまで以上に重視されそうだ。
なお、円相場で警戒されているのが28日に実施される本邦40年債の入札。今週の20年債入札は「衝撃的な弱さ」と言われ、超長期債への売り圧力を強めた(金利は上昇)。来週も入札を挟んで債券市場は神経質に動くことが予想され、為替にも影響を及ぼす可能性が高い。
5月19日週の回顧
ポンド円は週明け売りが先行も、株式市場の底堅さを背景に194円前半まで切り返した。その後、本邦長期金利の大幅上昇や米トリプル安への警戒感などで一時192円割れまで下落する場面があった。ポンドドルはCPIの加速も後押しに、2022年2月以来の高値1.3469ドルまで上昇した。加ドルは、対円では戻り鈍いまま103円前半まで下落したが、週後半にかけて104円台まで持ち直した。コアCPIの強さも手伝い、対ドルでは1.38加ドル前半まで加ドル高に振れた。(了)
(執筆:5月23日、9:00)
(松井)
◆ポンド、英EU首脳会談での関係再構築はプラス材料に
◆加ドル、コアCPI上振れで判断難しいなかBOC会合に対する思惑で上下
予想レンジ
ポンド円 191.50-196.50円
加ドル円 102.50-106.50円
5月26日週の展望
英国は週明け26日がスプリング・バンク・ホリデーで休場であり、その後も重要な経済指標は予定されていない。そのためポンドは、今週の材料を再確認しながらの取引となるだろう。
21日発表の4月消費者物価指数(CPI)は総じて想定以上の上昇となった。総合が前年比3.5%と2024年1月以来、コアも3.8%と1年ぶりの高い水準を記録。4月に引き上げられた「電気・ガス・水道料金」や「社会保障料の事業者負担」の影響は予想より強かった。英中銀が基調的な指標として注視するサービス価格インフレ率も5.4%と見込み以上に上昇した。これらを受け、市場では、年末までの0.25%追加利下げ回数について、2回から1回との予想に変更している。暫くは、早期利下げ観測の後退がポンドの下値を支えることになりそうだ。
一方、翌22日に発表された5月購買担当者景気指数(PMI)速報値はまちまちな結果に。サービス部門は50.2と予想や前回から上振れたが、製造業が45.1と予想より弱く、更に前回値も下回った。この辺りが積極的にポンドの上値を追えない要因となっている。
なお、ロンドンでは今週、英・欧州連合(EU)首脳会合が開かれた。2020年に英国がEUを離脱して以降、初めての首脳会合となったが、「防衛・安全保障、漁業、食品輸出および渡航規制の緩和」に関する合意に達した。国内から批判はあるものの、英国にとって最大の貿易相手であるEUとの関係再構築はポンドに対してはポジティブな材料だろう。
加ドルは、来月4日のカナダ中銀会合に対する思惑で上下する展開を予想している。20日の4月CPIは前年比1.7%と予想を僅かに上回ったが、前回の2.3%からの減速は確認できた。市場が気にしたのは、コアCPIの加速。中央値は3.2%と前回から0.4ポイント上昇し、トリムも3.1%と1年1カ月ぶりの高水準を記録した。短期金融市場では、これまで60%以上だった6月会合の利下げ確率が30%弱まで低下。中銀の判断が難しくなるなか、早期利下げに踏み切るには景気減速を裏付けるデータが必要だろう。そうなると、来週30日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)の結果がこれまで以上に重視されそうだ。
なお、円相場で警戒されているのが28日に実施される本邦40年債の入札。今週の20年債入札は「衝撃的な弱さ」と言われ、超長期債への売り圧力を強めた(金利は上昇)。来週も入札を挟んで債券市場は神経質に動くことが予想され、為替にも影響を及ぼす可能性が高い。
5月19日週の回顧
ポンド円は週明け売りが先行も、株式市場の底堅さを背景に194円前半まで切り返した。その後、本邦長期金利の大幅上昇や米トリプル安への警戒感などで一時192円割れまで下落する場面があった。ポンドドルはCPIの加速も後押しに、2022年2月以来の高値1.3469ドルまで上昇した。加ドルは、対円では戻り鈍いまま103円前半まで下落したが、週後半にかけて104円台まで持ち直した。コアCPIの強さも手伝い、対ドルでは1.38加ドル前半まで加ドル高に振れた。(了)
(執筆:5月23日、9:00)
(松井)