週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、米中通商摩擦再燃には警戒
◆豪ドル、米中通商摩擦再燃には警戒
◆豪ドル、週末のG7サミット前後の首脳会談で急変リスクも
◆ZAR、インフレ目標引き下げが支えも高関税賦課や電力不足が重しに
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.20円
6月9日週の展望
豪ドルは来週もレンジ相場が予想される。トランプ関税の影響や米財政赤字拡大の懸念で、再び米債安・米株安・ドル安の米トリプル安に市場が傾く可能性はあるが、朝令暮改を繰り返すトランプ米大統領の動向などを受けて、豪ドルは一方的な動きにはなりにくい。株安などでドル売りが進む場面では、豪ドルが買われる場面もあるが、一方でリスク回避の動きに敏感なこともあり、株安は逆に豪ドルの上値を抑える要因にもなっている。対ドルでの豪ドル相場は5月に入ってからは0.63ドル半ばを底に0.65ドル前半までの狭いレンジ内での取引が続いている。また、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、トランプ政権の関税政策への直接的な影響は少ない。他通貨と比較すると動きが鈍くなっている。
ただ、警戒しなくてはならないのが、米国と中国の通商摩擦が再燃した場合。米中は電話による首脳会談を5日に行ったが、両国間のディールの進展は未知数のまま。豪州にとっては米国だけではなく中国とも経済的な結びつきが強く、米中間の緊張感が高まり、両国間が報復関税措置の強化となれば豪ドルの重しになるだろう。
来週は10日に6月ウエストパック消費者信頼感、5月NAB企業信頼感・景況感が発表される程度で、市場が注目する経済指標の発表予定はない。ただ、15日から主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されることから、サミット前後に行われる各国の首脳会談次第で相場が急変するリスクがある。リスクセンチメントに敏感な豪ドルが大きく動意づくこともありそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も方向感が定めにくい。先週には対ドルで昨年12月以来のZAR高水準まで強含んだが、今週も対ドルでは堅調な動きをみせた。南ア準備銀行(SARB)のインフレ目標の引き下げ予定により、海外投資家が債券利回りの上昇を期待している。先日行われた南ア債の入札でも3カ月ぶりとなる強い需要になった。クガニャゴSARB総裁はインフレ目標の引き下げは政策金利の維持にはつながらないと主張しているが、投資家は実質金利の上昇を期待しており、ZARの支えになっている。
ただ、ZARの潜在的な売り要因による相場の急変には警戒が必要。米国の南アに対する高関税賦課が迫っていることや、これから冬季を迎える南アでの電力不足懸念で、すでに国営電力会社エスコムが負荷制限を示唆していることなどが重しになりそうだ。なお、来週は市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていない。
6月2日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに方向感を欠いた。関税交渉などで目立った進展もなかったことで、日替わりで上下を繰り返した。豪州の1-3月期国内総生産(GDP)は予想を下回ったが、市場の反応は限られた。ZARは底堅く、対ドルでは年初来高値水準を維持した。今週発表された1-3月期国内総生産(GDP)では、農業が上昇の勢いの大部分を牽引し、市場予想を上回ったことも支えになった。対円では8円前後でもみ合いだった。(了)
(執筆:6月6日、9:00)
◆豪ドル、週末のG7サミット前後の首脳会談で急変リスクも
◆ZAR、インフレ目標引き下げが支えも高関税賦課や電力不足が重しに
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.20円
6月9日週の展望
豪ドルは来週もレンジ相場が予想される。トランプ関税の影響や米財政赤字拡大の懸念で、再び米債安・米株安・ドル安の米トリプル安に市場が傾く可能性はあるが、朝令暮改を繰り返すトランプ米大統領の動向などを受けて、豪ドルは一方的な動きにはなりにくい。株安などでドル売りが進む場面では、豪ドルが買われる場面もあるが、一方でリスク回避の動きに敏感なこともあり、株安は逆に豪ドルの上値を抑える要因にもなっている。対ドルでの豪ドル相場は5月に入ってからは0.63ドル半ばを底に0.65ドル前半までの狭いレンジ内での取引が続いている。また、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、トランプ政権の関税政策への直接的な影響は少ない。他通貨と比較すると動きが鈍くなっている。
ただ、警戒しなくてはならないのが、米国と中国の通商摩擦が再燃した場合。米中は電話による首脳会談を5日に行ったが、両国間のディールの進展は未知数のまま。豪州にとっては米国だけではなく中国とも経済的な結びつきが強く、米中間の緊張感が高まり、両国間が報復関税措置の強化となれば豪ドルの重しになるだろう。
来週は10日に6月ウエストパック消費者信頼感、5月NAB企業信頼感・景況感が発表される程度で、市場が注目する経済指標の発表予定はない。ただ、15日から主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されることから、サミット前後に行われる各国の首脳会談次第で相場が急変するリスクがある。リスクセンチメントに敏感な豪ドルが大きく動意づくこともありそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)も方向感が定めにくい。先週には対ドルで昨年12月以来のZAR高水準まで強含んだが、今週も対ドルでは堅調な動きをみせた。南ア準備銀行(SARB)のインフレ目標の引き下げ予定により、海外投資家が債券利回りの上昇を期待している。先日行われた南ア債の入札でも3カ月ぶりとなる強い需要になった。クガニャゴSARB総裁はインフレ目標の引き下げは政策金利の維持にはつながらないと主張しているが、投資家は実質金利の上昇を期待しており、ZARの支えになっている。
ただ、ZARの潜在的な売り要因による相場の急変には警戒が必要。米国の南アに対する高関税賦課が迫っていることや、これから冬季を迎える南アでの電力不足懸念で、すでに国営電力会社エスコムが負荷制限を示唆していることなどが重しになりそうだ。なお、来週は市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていない。
6月2日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに方向感を欠いた。関税交渉などで目立った進展もなかったことで、日替わりで上下を繰り返した。豪州の1-3月期国内総生産(GDP)は予想を下回ったが、市場の反応は限られた。ZARは底堅く、対ドルでは年初来高値水準を維持した。今週発表された1-3月期国内総生産(GDP)では、農業が上昇の勢いの大部分を牽引し、市場予想を上回ったことも支えになった。対円では8円前後でもみ合いだった。(了)
(執筆:6月6日、9:00)