東京為替見通し=米中協議継続で東京市場は「待ちの時間」になるか

 昨日の海外市場でドル円は、一時144.77円付近まで値を上げたが上値は重かった。米中貿易協議の成り行きを見極めたいとの思惑から値動きが鈍った。ユーロドルは1.1387ドルまで弱含んだが、米長期金利が低下に転じたことも相場を下支えし1.1431ドル付近まで持ち直した。

 本日の東京時間でのドル円も、引き続き米中閣僚級協議の進展を控えて動きにくい展開になりそうだ。協議が行われている場所が英ロンドンということもあり、東京時間の午前中に会談の追加報道やトランプ米大統領のSNSが伝わらない場合は、欧州入り後までは「待ちの時間」になるだろう。中国の貿易交渉官である何中国副首相は13日まで英国に滞在し、「中米・経済貿易メカニズム」会議に出席すると週末に公表している。15日から始まるカナダでのG7サミットまでぎりぎりの交渉が行われるとみられる。

 中国国営・新華社通信によると、習主席はトランプ大統領に対し、「中国に対して取ってきた否定的な措置を撤回するべきだ」と語ったという。一方で、米国はウクライナからのレアアース(希土類)を獲得というシナリオが頓挫したことで、レアアースの獲得を目指していると伝わっている。

 G7サミット前に交渉が少しでも前向きな結果になったことを示し、トランプ政権はEU諸国や日本などに交渉成立の圧力をかけたいとの思惑もあるのだろう。よって、TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもびびって退く)の米国サイドが交渉に焦りを感じているとも伝わっている。交渉の進展を確認するのは難しいものの、仮にわずかな進展が見られた場合でも、大げさなトランプ米大統領が成果を強調し、市場が瞬間的にドル買いに傾く動きには警戒したい。

 市場への影響は現時点では限定的だが、カリフォルニア州にトランプ大統領が州兵を派遣したことが、米国では更に問題視されている。日本時間早朝にニューサム・カリフォルニア州知事は「トランプが関与するまでは問題はなかった。これは州主権の重大な侵害であり、緊張を煽っている」とXに投稿している。また、合衆国憲法違反の越権行為と主張し、州知事はトランプ政権を提訴することも発表している。トランプ政権の内憂外患が継続すれば、米国売りが再開するリスクもあるか。
 
 なお、本日は本邦とオセアニアからは複数の経済指標が発表されるものの、市場を動意づけるような重要指標はない。ただ、5・10日(ゴトー日)ということもあり、東京仲値の値決めなどでは神経質な動きになりそうだ。


(松井)
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