NY為替見通し=ロンドンでの米中閣僚級通商協議に関するヘッドラインに要警戒か

 本日のNY為替市場のドル円は、本日ロンドンで開催されている米中閣僚級通商協議に関するヘッドライン、そして、トランプ米大統領の突発的な発言に警戒していく展開が予想される。

 ロンドンでの米中通商協議には、米国からベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表が出席し、中国側は何立峰副首相らが参加する。

 米国側は、電気自動車(EV)や防衛システムに不可欠なレアアース磁石の供給減少に懸念を示す一方、中国は人工知能(AI)用半導体の制限強化、先端技術へのアクセス制限などに懸念を示している。

 米中両国は5月10-11日にスイスのジュネーブで行われた通商協議で貿易戦争の緩和に向けて90日間の停戦合意に至ったものの、その後互いに相手方が合意条件に違反していると非難し合い、関係は悪化していた。

 トランプ米政権にとっては、ウクライナでのレアアース確保の可能性が低下しているため、ハセット国家経済会議(NEC)委員長の発言「レアアースや磁石が、4月初旬以前と同じように流通することを望んでいる」に代表されるように、譲歩する可能性が高まっている。

 トランプ米大統領は、ウォール街では「TACO」(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく)と見透かされており、中国側も同様のシナリオで協議に臨むのかもしれない。

 リスクシナリオとして、ドル円が5月12日の米中通商協定の締結により148.65円まで上昇した局面の再現を念頭に置きながら、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。

 投機筋のポジションを示唆しているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、6/3時点で151,149枚となっている。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、145.60円(日足一目均衡表・雲の上限)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、143.45円 (6/6 安値)


(山下)
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