NY為替見通し=米4月JOLTSを見極めつつ、NY株式・債券市場の動向に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、引き続きトランプ米大統領の突発的な発言に警戒しつつ、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を見極めながら、NY株式・債券市場の動向を注視していく展開が予想される。

 ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、雲の下限(143.76円)が攻防の分岐点となっており、本日も、念頭に置きながら臨んでいくことになる。

 4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数の予想は710.0万件で、3月の719.2万件からの減少が見込まれている。4月の数字なので、今週末発表される米5月雇用統計との関連性はないものの、トランプ関税による米雇用情勢の悪化が警戒される中、予想を下回るネガティブサプライズには警戒しておきたい。

 昨日発表された5月ISM製造業景況指数は48.5で、4月の48.7から低下していたものの、雇用指数は46.8で、4月の46.5から改善していた。一方で、5月消費者信頼感指数は98.0で、4月の85.7から改善していたものの、労働市場格差は、13.2で4月の13.7から悪化していた。

 5月の調査は、12日に発表された米中通商協定(※追加関税115%引き下げと90日間の関税賦課停止)を受けたものであり、現時点では、米中貿易摩擦が再燃する可能性が高まっているため、5月12日週が調査対象週である5月雇用統計も含めて、割り引いて受け止めなければならないのかもしれない。

 今週末、トランプ米大統領(1946年6月14日生まれ)と習・中国国家主席(1953年6月15日生まれ)が電話会談を行う予定となっており、それぞれの誕生日を控えて前向きな会談となるのか否か、注目していくことになる。
  中国外務省報道官は、「米中首脳会談に関して共有できる情報はない」と述べている。

 また、グールズビー米シカゴ連銀総裁、クック米連邦準備理事会(FRB)理事、ローガン米ダラス連銀総裁らのトランプ関税による不確実性や利下げ時期への言及にも注目しておきたい。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、144.44円(5/30高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、142.12円(5/27安値)



(山下)
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