NY為替見通し=ドル円、G7声明の為替文言変更懸念や米国債入札懸念で上値が重い展開か

 本日のNY為替市場のドル円は、G7声明での為替文言変更への警戒感や10 年物インフレ連動債入札への警戒感から上値が重い展開が予想される。

 本日は、前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/188.3万人)や5月米製造業・サービス部門PMI速報値が発表される。
 トランプ関税による景気後退(リセッション)懸念が払拭されない中、5月の米国の雇用情勢や景況感を確認しながら、トランプ関税による「不確実性(uncertainty)」の度合いを見極めていくことになる。

 また本日は米・10 年物インフレ連動債入札が予定されており、昨日の20年債入札が不調だったことで、警戒しておきたい。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、12月FOMCの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-00%と見込まれている。

 日米財務相会談では、「前回の会談と同様に為替の水準については議論されなかった」「現時点でのドル円はファンダメンタルズを反映しているとの認識を再確認」「為替レートは市場で決定されるべきとの共通認識を再確認」などと声明で発表された。

 また三村財務官も「日米間で為替水準の議論はしていない」「為替相場はマーケットによって決定される」「過度の変動や無秩序な動きは望ましくないとの認識を再確認」と述べていることで、懸念されていたようなドル安・円高を指向する為替協議はなかったと思われる。

 G-7財務相・中央銀行総裁会議の声明では、米国の貿易赤字削減に向けた為替文言の微修正、すなわち、米国の貿易赤字を削減するためにドルの緩やかな下落基調を要因するのではないか、との警戒感は残っているものの、トリプル安に拍車をかけることになるため、従来通りのG-7声明に落ち着くのではないだろうか。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、144.61円(5/21高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、142.36円 (5/6 安値)


(山下)
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