東京為替見通し=ドル円、G7・日米関税交渉待ち

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落した。23時前に144.97円付近まで上げたものの、米10年債利回りが上昇幅を縮めると144.43円付近まで押し戻された。ユーロドルは取引終了間際に1.1286ドルと日通し高値を付けるなど続伸した。また、ユーロ円はドル円の下落につれた売りが出たものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると一時163.15円付近まで値を上げた。

 本日の東京タイムでドル円は、日本株や日米債の動向を睨んだ動きとなるも、主要7カ国(G7)と日米関税交渉待ちムードが強いだろう。22日まで開催されるG7財務相・中央銀行総裁会議で日米の財務相は2回目の会談を行う予定だ。また、日米関税交渉は19日から事務レベルの協議が行われており、閣僚協議は米東部時間23日(日本時間24日)に開かれる見通しだ。赤沢経済再生担当相が訪米し、米通商代表部(USTR)のグリア代表と米商務省のラトニック長官と協議を行う。ベッセント米財務長官は現時点で、参加が難しいとみられている。

 昨日も加藤財務相が今週の日米協議で「為替を含め2カ国間の諸問題を議論する」と述べると円高に傾いたように、日米協議での「円安是正の議論」への警戒感が根強く、協議の内容を見極めるまでは円高圧力が残される。ただ、ドル円の下げも一服感があり、イベント待ちムードが広がりそうだ。今後の協議次第では円安是正が議論に上る可能性は十分あるものの、今の段階では前回同様に「日米両国で為替相場は市場で決まるとの原則を確認し、引き続き協議することで一致」とのことにとどまる可能性が高いと見ている。

 先週末の米格付け会社ムーディーズによる米信用の格下げはドル売りで反応したが、米株・米債が下げ渋り、「米国売り」再燃への警戒感は緩んだ。ただ、トランプ関税の不確実性による市場の混乱が続いており、全般ドルの上値は重い。ベッセント米財務長官は、貿易相手国が通商協議で「誠意ある」交渉を行わなければ、米国は先月に警告した税率で関税を課すことになると述べている。米政権と貿易相手国で個別の交渉が続いているが、中国には通用しなかった脅かし作戦は変わっていないようだ。今のところ、報復措置を掲げながら「対峙」している欧州連合(EU)やカナダなどを筆頭に中国のように徹底抗戦を示す国が増えると、トランプ米政権は「米国の信頼喪失」という大きな代償を払わなければならない可能性がある。

(金)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。