東京為替見通し=ドル円、日米貿易交渉からの報道を見極めていく展開

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は141.65円まで下落した。パウエルFRB議長が早期の利下げに慎重な考えを示したことで米株が急落した影響を受けた。ユーロドルは米長期金利の低下を受けて1.1413ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日午前6時から開催されている日米貿易交渉からの報道を見極めていくことになる。また、3月貿易統計で対米貿易黒字幅にも注目したい。

 8時50分発表の3月貿易統計(通関ベース)は、季節調整前4853億円の黒字/季節調整済2510億円の赤字が予想されている。対米貿易黒字の数字と、トランプ米政権が相互関税率24%を算出した計算方法で、2024年の46%(÷2=約24%)からの増減を確認しておきたい。なお1-2月の対米貿易黒字は1兆3957億円、米国への輸出金額は3兆4440億円だったので、トランプ方式では40.5%となっている。

 ところで先週の米国債の売り手(※4/11:米10年債利回りが4.59%まで急上昇)は、中国や本邦機関投資家ではないかとの噂があった。そのため、本日公表される「対外対内証券売買契約等の状況」で中長期債投資の金額を確認しておきたい。

 日米貿易交渉では、日本側が赤沢経済再生相、米国側はベッセント米財務長官やラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表に加えてトランプ米大統領も出席している。ベッセント財務長官は、「関税、非関税障壁、補助金、そして『為替問題』などの協議」を示唆していた。一方、トランプ米大統領は「関税、軍事支援の費用、貿易の公平性について交渉する」と述べていた。同大統領から既に、「日本の代表との間で大きな進展があった」との発言が伝わっている。

 ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長の論文のシナリオに従うと、対日相互関税24%や自動車関税25%を減免する代わりに、非関税障壁(※車検制度など)や補助金(※輸出還付金など)の撤廃が要求されそうだ。また、防衛費の増額(※安全保障政策を連携させた「保護レント理論」)、ドル安・円高を受け入れるというバーターが想定される。

 ドル安・円高への米国側の圧力が確認された場合、161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」のネック・ラインが位置する(140.25円~139.58円~139.06円)の攻防に警戒しておきたい。

 10時30分発表の3月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数4.00万人)では、5月19-20日の豪準備銀行(RBA)理事会での利下げの可能性を見極めることになる。4月理事会の議事要旨では、「5月の会合はインフレや賃金、労働市場、経済活動の動向に関する追加データ、最新の経済予測、そして世界貿易政策の今後の展開に関する追加情報を得た上で、金融政策設定を見直す適切なタイミング」との見解が示されていた。

(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。