NY為替見通し=ドル円、日米交渉控え売り圧力が継続

 ドル円は142円割れこそ回避しているものの、142.05円まで年初来安値を更新した。その後は、中国がトランプ米政権との交渉に前向きとの報道を受けて一時142.90円台まで急伸するなど下げが一服している。

 中国は米政権が敬意を示し、交渉担当を指名するなら交渉に応じる用意があると報じられた。中国は今までも関税合戦を避けたいのが本音であり、米国と交渉する方針が変わったわけでもない。中国が嫌っているのはトランプ米政権の上から目線の交渉であり、力でねじ込もうとしている同氏の方針である。ただ、「関税交渉のボールは中国側にある」との米政権の主張に「中国は交渉に応じる用意がある」と回答し、両国の戦闘モードを緩めるきっかけを作ったことにはなるので、トランプ米政権の反応が注目される。

 米中の関係改善の期待感でいったんリスクオフの動きが緩む可能性があり、ドル円は買い戻しが進む可能性がある。ただ、明日に日米関税交渉を控え、ドル円の売り圧力は継続し、上値の重い動きを想定する。赤沢再生相は、「日本の国益にとっても米国の国益にとってもウィンウィンな関係になるような良い交渉ができる」と自信を示しているが、そんな甘い話があるわけではない。中国の予想以上の強気な抵抗で、トランプ氏の関税方針は大きな混乱を迎えており、国別での協議で早く成果を上げたい米政権は日本に譲歩を迫り、その成果を世間にアピールしようとしている。協議では米国が為替問題も取り上げる可能性が高く、米国の対日貿易赤字の削減を間接的に支援するために日本は円高・ドル安を容認するとの見方が強い。

 NYタイムでは、3月米小売売上高などの指標発表とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が予定されているが、反応は一時的にとどめ、引き続き関税関連のヘッドラインに注目する展開となる。関税の不透明感による米景気鈍化への懸念は強く、ドルの重い地合いは続きそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円、本日これまでの高値143.28円や14日高値144.31円が上値めど。

・想定レンジ下限
 ドル円、節目の142.00円や昨年9月30日安値141.65円が下値めど。

(金)
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