東京為替見通し=ドル円、2月CPIを見極めた後は日米10年債利回りの動向に要注目か

 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米住宅関連指標が予想を上回り、米長期金利が低下幅を縮小したことなどで148.96円まで上昇した。ユーロドルは、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の欧州議会での発言「通商を巡る不確実性は高い。米関税と欧州連合(EU)による対抗措置がユーロ圏経済を下押しする」や欧米貿易摩擦による欧州経済への悪影響への警戒感などから1.0815ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、2月全国消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、日米金融政策決定会合を受けた日米10年債利回りの動向に沿った展開が予想される。

 19日の日米金融政策決定会合を受けて、6月の日銀追加利上げ観測、FOMCの追加利下げ観測が高まっており、ドル売り・円買い基調に拍車がかかりつつある。

 8時30分に発表される2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+2.9%と予想されており、1月の同比+3.2%からの伸び率の鈍化が見込まれている。全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)は前年比+2.6%と予想されており、1月の同比+2.5%からの上昇が見込まれている。電気・ガス代補助金が1月使用分(2月請求分)から3カ月間、再び復活して、25年2~4月の電気・都市ガス代は再び押し下げられることが背景にある。
 しかし、コメや野菜の価格が上昇しているため、3.0%超えのサプライズには警戒しておきたい。

 日銀金融政策決定会合の声明文は、「各国の通商政策」がリスク要因に加えられたことは、ハト派材料だった。しかし、植田日銀総裁が記者会見で「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時期を示したことがタカ派的と受け止められて、円高が優勢となっている。
 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での日銀の追加利上げ次期は6月の日銀金融政策決定会合と予想されている。

 さらに、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税によるインフレ率上昇と景況感悪化という「スタグフレーション」への警戒感が示され、4月からの米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限が月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち間接的な利下げが決定されたことで、ドル売りが優勢になっている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、そして9月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)となっている。



(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。