東京為替見通し=ドル円、雲上限145.55円を念頭に中東関連ヘッドラインに要警戒か

 18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明公表後に一時144.34円まで下落した後、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な見方を示したことで145.23円付近まで値を上げた。ユーロドルは1.1530ドルまで上昇した後、1.1461ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢緊迫化を受けた有事のドル買いや原油価格上昇を受けた円売りで、上値抵抗水準となっている日足一目均衡表・雲の上限145.55円の突破を視野に入れた展開が予想される。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通りにFF金利誘導目標が4.25-50%に据え置かれ、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内の利下げ見通しが3月同様に2回(2×0.25%)に据え置かれた。しかし、年内の利下げは不要との見方を示したのは7人となり、3月の4人から増加していた。
 声明では、年内に利下げが実施される公算が依然大きいとしつつも、トランプ政権の関税措置によるインフレ上昇見通しを踏まえ、今後の全体的な利下げペース鈍化の可能性が示唆された。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、年内の利下げは9月FOMC(▲0.25%)と12月FOMC(▲0.25%)の2回となっており、ドット・プロットと整合的となっている。

 中東情勢に関しては、トランプ米大統領がイランに無条件降伏を勧告したものの、イラン最高指導者ハメネイ師は拒否して徹底抗戦を主張している。また、トランプ米大統領は、ネタニヤフ・イスラエル首相に対してイラン攻撃の継続を促したが、米軍の参加は示唆しておらず、本日も関連ヘッドラインを注視していくことになる。

 かつて1991年1月17日の湾岸戦争で、アメリカ軍を主力とする多国籍軍がイラクに空爆を開始した時は、ドル円は138円の高値から132円まで下落し、2月28日の戦闘終了にかけて、127円台まで下落しており、米軍による介入は、必ずしも「有事のドル買い」とはならないことも念頭に置いておきたい。

 10時30分に発表される5月豪雇用統計の予想は、失業率が4.1%で4月と変わらず、新規雇用者数が前月比+2.25万人で、4月の同比+5.95万人からの増加幅の減少が見込まれている。
 豪準備銀行(RBA)理事会は、5月20日、1-3月期豪GDPが前期比+0.2%に留まったことなどを受けて、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を4.10%から2年ぶり低水準の3.85%に引き下げる決定を行った。

 声明では、グローバルな不確実性を理由に挙げて、国内経済活動が悪化すれば「断固とした対応」を取る用意を示唆したことで、雇用統計次第では、7月の次回会合で、政策金利を0.25ポイント引き下げて、3.60%とする可能性が高まることになる。



(山下)
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