NYマーケットダイジェスト・7日 原油急落・金利低下・株大幅高・ドル失速

(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.74円(前営業日比△0.94円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=143.85円(△2.42円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0006ドル(△0.0102ドル)
ダウ工業株30種平均:31581.28ドル(△435.98ドル)
ナスダック総合株価指数:11791.90(△246.99)
10年物米国債利回り:3.26%(▲0.09%)
WTI原油先物10月限:1バレル=81.94ドル(▲4.94ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=1727.8ドル(△14.9ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な米経済指標)         <発表値>   <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数(前週比)   ▲0.8%      ▲3.7%
7月米貿易収支          706億ドルの赤字 809億ドルの赤字・改

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。積極的な金融引き締め政策が長期化するとの観測が強まる米連邦準備理事会(FRB)と、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、この日も円売り・ドル買いが継続。20時30分過ぎに一時144.99円と1998年8月以来約24年ぶりの高値を付けた。
 ただ、NY勢が本格参入する時間帯に入ると上値が重くなった。心理的節目である145円手前ではポジション調整目的の売りが出たほか、市場では「145.00円に観測されているバリアオプションの防戦売りなどに上値を抑えられた」との声が聞かれた。米長期金利の低下を背景に全般ドル売りが強まると、5時前に一時143.68円付近まで下押しした。
 なお、米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「経済活動は7月から8月終盤にかけて横ばいで推移した」との認識が示されたほか、物価については「引き続き非常に高い水準にあるが、9地区で上昇率がある程度緩やかになったと報告された」と伝わった。米10年債利回りはベージュブック公表後に一時3.2482%前後まで低下した。

・ユーロドルは3日ぶりに反発。プーチン露大統領が停止中の欧州向け主要ガスパイプライン「ノルドストリーム」について「タービンがあれば明日にも供給を再開する」と発言すると、欧州の天然ガス価格が急落。エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念が和らぎ、ユーロ買い戻しを誘った。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが強まると、一時1.0011ドルと日通し高値を更新した。
 市場では「明日8日の欧州中央銀行(ECB)理事会で通常の3倍にあたる0.75%の利上げが実施されるとの観測が高まっており、持ち高調整目的のユーロ買い・ドル売りが優勢となった」との声も聞かれた。

・ユーロ円は4日続伸。各国中銀の金融引き締め政策に注目が集まる中、日銀のみが大規模な金融緩和を続ける構図に改めて焦点があたり、円を売る動きが先行した。天然ガス価格の大幅下落を背景にユーロ買いが活発化すると、一時144.01円と6月29日以来の高値を更新した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに大幅反発。相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが優勢となった。原油などコモディティ価格の下落を受けて、インフレ懸念が和らいだことも株買いを誘った。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は8日ぶりに大幅反発した。米長期金利の低下を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株には買い戻しが広がった。

・米国債券相場で長期ゾーンは反発。天然ガスや原油などエネルギー価格が大幅に下落したことで、インフレ懸念がやや後退。債券買いが優勢となった。ベージュブックで「物価はなお高水準にあるものの、9地区で上昇率がある程度緩やかになったと報告された」と伝わると、利回りは一時3.2482%前後まで低下した。

・原油先物相場は大幅安。世界的な景気減速懸念が根強いなか、エネルギー需要が低下するとの見方から売り注文が膨らんだ。売りが売りを呼び、一時81.70ドルまで急落した。

・金先物相場は反発。序盤は対ユーロでドル安が進行したため、ドル建て商品である金に買いが入った。足もとで下落が続いていたこともあって押し目買いも入りやすかったとの声が聞かれる。

(中村)
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