東京為替見通し=ドル円、追加介入のタイミングを探る動きか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。米長期金利の上昇を支えに144.79円まで上昇した。ユーロドルは0.9600ドル近辺まで押されるなど上値の重い動きとなった。ドル円の上昇も支えにユーロ円は139.52円まで高値を更新した。ポンドドルは英中銀の緊急利上げへの期待感も支えに1.0931ドルまで買い戻しが入ったが、緊急利上げには踏み切らなかった英中銀の臨時声明の発表後は1.06ドル前半に押し戻された。

 米長期金利の上昇が止まらず、ドル円は日米の金利差拡大を支えに底堅い動きが続きそうだ。どのタイミングで日本の当局が追加介入を実施するかを探る相場展開が見込まれる。日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りと本邦の円買い介入を意識した神経質な動きは当面続くと想定される。鈴木財務相は昨日、「介入は一定の効果が認められた」と述べ、今後も急激に円安が進めば、「必要に応じて対応を取る」とけん制した。昨日のドル円は144円後半で上昇が一服したが、145円台を回復すると、追加介入への警戒感が強まりそうだ。

 スイス中銀のマイナス金利脱却で、日本は世界で唯一のマイナス金利導入国となっている。また、本邦の8月貿易収支は2兆8173億円の赤字と過去最大の貿易赤字を記録するなど、貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力も強く、ファンダメンタルズ的な面では円に買い戻しが入る材料は乏しい。英中銀がインフレ抑制のために利上げを継続するなか、英政府は大型減税などの景気対策を発表し、政府と中銀の政策ミスマッチが市場に不安を与え、ポンドが暴落した。日本も日銀が緩和姿勢を強調する一方で、当局が円安阻止の介入を続けば、市場の不信感が高まる可能性がある。介入によるドル円の下げ局面は投機筋に買い場を与えるだけで、効果なく終わる可能性もある。

 ポンドの暴落は、世界的な引き締めが市場に想定を超す混乱をもたらす懸念も示している。最近のドル高によってリスク資産に「制御できない状況」が生まれ、金融危機や経済危機に陥る可能性が警戒される。ただ、リスクオフ志向の高まりは円買いよりドル買いを一段と強めそうだ。

(金)
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