週間為替展望(ドル/ユーロ)-日本3月CPIと米地区連銀経済報告に注目

◆ドル円、米地区連銀経済報告と日本の3月コアコアCPIや貿易赤字に注目
◆4月NY連銀景況指数やフィラデルフィア連銀景況指数などにも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値を意識

予想レンジ
ドル円   130.00-135.00円
ユーロドル 1.0900-1.1200ドル 

4月17日週の展望
 ドル円は、5月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での判断材料を提供する地区連銀経済報告や27-28日に開催される日銀金融政策決定会合での判断材料となる3月消費者物価指数(CPI)に注目する展開となりそうだ。

 3月のFOMC議事要旨では、全員一致で0.25%の追加利上げが決定されたものの、12地区連銀のうち4連銀が0.25%利上げを望んでいないことが判明。4つの連銀が利上げ停止を望んだのか、それとも0.50%の利上げを望んだのかは、今週発表予定の公定歩合会合の議事要旨で判明する。

 地区連銀経済報告では各地域での雇用、物価、金融システムの状況を確認し、5月FOMCでの0.25%利上げの可能性を見極めることになる。経済指標では、4月のNY連銀やフィラデルフィア連銀の景況指数、3月住宅着工件数や建設許可件数、中古住宅販売件数などに注目したい。

 なお植田日銀総裁は、就任会見で「大規模な金融緩和策を継続することが適当だ」と述べ、当面、政策の枠組みの修正は考えていないという認識を示した。27-28日の金融政策決定会合では、マイナス政策金利やイールドカーブ・コントロール(YCC)が変更される可能性は低下した。ただし、3月のコアコアCPIの動向には要警戒。2月コアCPIはエネルギー価格高騰に対する政府支援策で前年比+3.1%まで低下したものの、エネルギー価格を除いたコアコアCPIは1982年以来となる+3.5%、実質賃金の算出に用いられる持ち家の帰属家賃を除くCPIは+3.9%の上昇を記録した。

 ドル円は、日米10年債利回り格差の縮小観測から上値が重い展開となっているものの、下値はOPECプラスの原油減産を受けた原油価格の上昇基調などが影響して限定的だと予想される。新年度入りした本邦機関投資家からの外債投資に絡んだ円売りの動きにも警戒しておきたい。3月の貿易赤字では、日本の実需の円売り圧力を確認することになる。

 ユーロドルは、高止まりしているインフレ率を抑制するために、5月4日の欧州中央銀行(ECB)理事会での0.50%の追加利上げ観測を背景に底堅い動きが継続しそうだ。経済指標では、独4月のZEW景況指数、ユーロ圏4月の製造業・サービス業PMI速報値などに注目が集まる。

4月10日週の回顧
 ドル円は、5月3日のFOMCでの追加利上げ観測を背景に131.83円から134.05円まで上昇した後、米3月CPIが前年比5.0%、PPIが2.7%まで伸び率が鈍化したことで132.02円まで反落した。米10年債利回りも3.45%台から一時3.33%台まで低下した。
 ユーロドルは、複数のタカ派のECB高官がインフレ抑制のための追加利上げを主張したことで、1.0831ドルから1.1075ドルまで上昇した。ユーロ円も、143.81円から146.89円まで上昇した。(了)
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