NY株見通し-今週はデフォルト回避見通しを背景に堅調か

 今週のNY市場は堅調な展開か。先週はダウ平均が1.00%安と反落したものの、S&P500が0.32%高と2週続伸し、ナスダック総合は2.51%高と大幅に5週続伸と、主要3指数が高安まちまちとなった。米債務上限引き上げを巡る与野党協議に進展がなかったことで、米国のデフォルト懸念が重しとなったものの、予想を上回る決算や強い見通しが好感されたエヌビディアが急伸し、ハイテク株の上昇をけん引した。S&P500の11セクターは、ITが5.12%高、コミュニケーションが1.21%高、一般消費財が0.36%高となりS&P500をアウトパフォームした一方、生活必需品が3.21%安、素材が3.14%安となったほか、ヘルスケア、公益が2%超下落し、金融、資本財、不動産、エネルギーも1%超下落した。金曜日引け後の動きでは、イエレン米財務長官が米国がデフォルトする可能性があるXデーを、これまでの6月1日から6月5日に変更した。週末27日には債務上限を巡り、バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が基本合意に達し、マッカーシー下院議長は31日に議会で採決すると表明した。

 今週はデフォルト回避見通しを背景に堅調な展開か。S&P500は終値で2022年8月以来の4200ポイントを上回って終了し、テクニカル面も改善した。一方、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの長期見通しは上値の圧迫材料となりそうだ。FRBがインフレ指標として注目する先週末発表の米4月個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコアPCE価格指数が前月比+0.4%と前月分や市場予想の+0.3%を上回り、前年比でも+4.7%と前月分と予想の+4.6%を上回る伸びとなった。強いコアPCE価格指数を受けてCMEのフェド・ウォッチが示す6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利上げ確率は25日の52%から26日は71%に上昇した。今週は6月FOMCでの利上げ見通しを巡り、31日の4月JOLTS求人件数、6月1日の5月ISM製造業購買担当者景気指数 (PMI)、2日の5月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)などの経済指標に注目が集まる。決算発表はHP、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、アドバンス・オート・パーツ、セールスフォース、ダラー・ゼネラル、ブロードコムなどS&P500採用の9銘柄が発表予定。

 今晩の経済指標・イベントは3月ケースシラー住宅価格指数、5月消費者信頼感指数、バーキン米リッチモンド連銀総裁講演など。企業決算は引け後にHP、ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどが発表予定。(執筆:5月30日、14:00)
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