株式明日の戦略-連日の大幅安で33000円割れ、来週も後半の株安に要警戒

 23日の日経平均は大幅続落。終値は483円安の32781円。ナスダックやS&P500の上昇を受けて高く始まり、開始直後には上げ幅を200円超に拡大。しかし、33500円台に乗せた後は流れが変わった。

 前日大幅安となったことで買いが先行した半導体株が伸び悩んだことで、全体でも押し目買い機運が後退。足元高値圏で推移していた商社株が大きく下げてきたことから、指数は急失速して下げに転じた。その後、半導体株に崩れるものが増えてくると、売りに勢いがついた。節目の33000円を割り込むと、前場は安値圏で終了。後場に入って600円超下げて32500円台に突入したところでようやく売り圧力が和らぎ、14時以降は幾分値を戻した。結局、後場の高値圏では終えたものの、500円近い下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆4300億円。業種別では電気・ガスと食料品の2業種が上昇し、空運が小幅な下落。一方、卸売、非鉄金属、輸送用機器などが大幅に下落した。「一風堂」などのブランドでラーメン店を展開する力の源ホールディングス<3561.T>が、価格改定(値上げ)の発表が好感されて大幅上昇。半面、日々公表銘柄に指定されてストップ安が続いていたプログリット<9560.T>が、きょうも売りが止まらず12.7%安となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり325/値下がり1456。半導体株は不安定な動きとはなったものの、ナスダック高を支えにレーザーテックや東京エレクトロンが上昇。東電HDが6.3%高と騰勢を強め、九州電力や北海道電力など電力株の大半が上昇した。JR4社(東・西、東海、九州)がディフェンシブ性を発揮してそろって上昇。自己株取得を発表したリバーエレテックが大幅高となった。

 一方、三菱商事や三井物産など商社株が軒並み大幅安。指数寄与度の大きいファーストリテイリングとソフトバンクGが大きめの下げとなった。為替は円安に振れたものの、トヨタ、ホンダ、三菱自など自動車株は多くが下落。スクエニ、バンナム、コナミGなどゲーム株が全般軟調となった。シーユーシー、OBシステム、ABEJAなど、直近上場銘柄に派手に下げた銘柄が多く、ストップ安まで売られたものも散見された。きのうストップ安となったソシオネクストは乱高下しながら終盤には買われる場面もあったが、1%安で取引を終えた。

 グロース市場に新規上場して2日目で高い初値をつけたアイデミーは、地合いの悪い中、ストップ安で終えた。本日グロース市場に上場したARアドバンストテクノロジは買いが殺到して初値は持ち越しとなった。

 日経平均は483円安(32781円)と派手に下げた。ただ、後場の値動きは意外と落ち着いていた。きのうストップ安となったソシオネクストでさえ、終盤にはプラス圏に浮上する場面があった。きょうの弱さが目立った商社株は、ソシオネクスト同様に直近の上昇が目立っており、利益確定売りはいつ出てきても不思議ではなかった。また、プライムでは下落率が2桁になった銘柄はなかった。

 ここから米国株が大きく崩れるのであればさらなる調整は避けられないが、そういうことでないのであれば、今週の下げが終わりの始まりとなる可能性は低い。7月前半にETFの分配金ねん出のための売り需要が発生するとみられており、これを通過するまでは上値は重いだろう。一方で、7月後半からは3月決算企業の1Q業績が出始める。ここから1カ月くらいは過熱感を冷やす期間とじっくり構え、押し目を丹念に拾っていきたい。


【来週の見通し】
 軟調か。6月最終週で金曜30日が月内最終日。5月最終日の5月31日が440円安(30887円)と大きく下げたことは記憶に新しい。今振り返ればこの時の下げは買い場であったわけだが、下げの特異日かもしれない日を週末に控える中では、腰の入った買いは期待しづらい。日経平均は直近で大きく下げたものの、6月月間では23日までの時点で約1893円上昇している。米国の長期金利や為替の動きが大きくなっている点も警戒材料。為替に関しては円安は日本にプラスの側面もあるが、そろそろ日本側から行き過ぎた円安へのけん制が入りそうな水準に入ってきた。米国では経済指標の発表が多く、結果に一喜一憂が続く展開が想定される。そのような中、日本株は好材料に対する買いの反応が限られ、悪材料に対する売りの反応の方が強い地合いを予想する。
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