ニューヨーク外国為替市場概況・28日 ドル円、続伸

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は144.48円と前営業日NY終値(144.07円)と比べて41銭程度のドル高水準だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がポルトガルのシントラで開催中の欧州中央銀行(ECB)フォーラムで「大半の当局者は年内にあと2回の利上げを見込んでいる」「(7月、9月の)連続利上げの可能性を選択肢から排除しない」と述べた一方、植田日銀総裁は「基調的インフレ率が目標の2%を下回っているため、金融緩和を続けている」と述べ、緩和維持の正当性を主張。日米金融政策の違いが改めて意識されると円売り・ドル買いが優勢となり、24時前に一時144.62円と昨年11月以来の高値を付けた。
 ただ、買い一巡後はやや伸び悩んだ。政府・日銀が昨年9月、24年ぶりに円買い介入を実施した水準である145円に接近したことで介入への警戒感が強まった。市場では「チャート上で重要なポイントである2022年10月27日の安値145.11円がレジスタンスとして意識されている」との声も聞かれた。

 ユーロ円は反落。終値は157.67円と前営業日NY終値(157.92円)と比べて25銭程度のユーロ安水準。日欧金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ユーロ買いが先行すると、23時前に158.00円と2008年9月以来15年ぶりの高値を付けたものの、その後失速した。政府・日銀による円買い介入への警戒から、一時本日安値となる157.23円まで値を下げた。ユーロドルの下落につれた売りも相場の重し。
 なお、ラガルドECB総裁はECBフォーラムで「基本シナリオ通りなら、7月に利上げする可能性が高い」「現時点では利上げ休止は考えていない」「コアインフレが低下している十分な証拠はない」などと発言した。

 ユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0913ドルと前営業日NY終値(1.0961ドル)と比べて0.0048ドル程度のユーロ安水準だった。欧州債利回りの低下などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行。市場では「月末・四半期末を控える中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測された」との指摘もあり、一時1.0897ドルと日通し安値を更新した。
 ただ、フィキシング通過後は1.09ドル台前半で下げ渋った。米10年債利回りが3.70%台まで低下したことも相場を下支えした。

本日の参考レンジ
ドル円:143.73円 - 144.62円
ユーロドル:1.0897ドル - 1.0963ドル
ユーロ円:157.23円 - 158.00円

(中村)
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