NY為替見通し=8月米雇用動態調査求人件数と円買い介入の可能性に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を見極めつつ、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していくことになる。

 8月米雇用動態調査の求人件数は880.0万件と予想されており、7月の882.7万件からの減少が見込まれている。
 労働省が発表した8月の雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比+18.7万人となり、3カ月連続で20万人を割り込み、労働参加率が2020年2月の水準へ上昇したことで、失業率が2022年2月以来の水準まで上昇していた。そして、不完全雇用率が上昇して、平均時給が再び鈍化していたことで、労働市場の減速を示唆する内容だった。
 8月米雇用動態調査求人件数が予想以上に減少していた場合は、今週末に発表される米9月の雇用統計への警戒感を高めることで要警戒か。

 昨日発表された9月米ISM製造業の雇用指数は51.2で、8月の48.5から改善していた。
 しかし、物価指数は43.8となり、8月の48.4から低下しており、製造業レベルでの物価情勢の落ち着きが示唆されていた。

 ドル円は、日本銀行と米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の方向性の違いから、連日高値を更新してきているが、150円台に乗せた場合、ボラティリティーが上昇する可能性が高まることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性を高めることになる。

 昨年の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入は、ボラティリティー抑制を名目に実施されたが、介入実施の目安は、ボリンジャー・バンドの+2σ付近だった。本日の+2σは、150.20円付近にあり、150円台を窺うような局面では警戒しておきたい。

 昨年10月21日(金曜日)のドル売り・円買い介入は、東京時間23時30分過ぎに実施されている。
 昨年秋の円買い介入時の1カ月物の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)は12%以上だったが、本日は9.2%台までやや上昇している。

 また、昨日、米下院共和党保守強硬派のマット・ゲーツ議員がマッカーシー下院議長の解任動議を提出しており、今後の成り行きに要注目か。
 下院は共和党が221対212で辛うじて多数派を占めているが、民主党議員全員が解任を支持(212票)した場合、共和党からわずか5人の造反者が出れば、217対216でマッカーシー氏は議長の座を脅かされることになる。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、ピボット・ターニングポイントの150.44円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、日足一目均衡表・転換線の148.61円。


(山下)
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