株式明日の戦略-盛り上がらない1日で週間でも下落、来週は様子見姿勢が強まるか

 12月に入って1日の日経平均は反落。終値は55円安の33431円。ダウ平均が大幅高で年初来高値を更新したことを受けて買いが先行したものの、寄り付きは2桁のプラスまでにとどまり、すぐに下げに転じた。その後は上でも下でも値幅が出ればそれが修正され、プラス圏とマイナス圏を行き来した。米長期金利が上昇したことからグロース株が売られた一方、バリュー株には買いが入り、全体では強弱感が交錯した。後場に入っても狭いレンジでのもみ合いが続き、引けまでどちらで終えるかわからない状況が続いたが、小幅な下落で取引を終えた。TOPIXは小高く始まった後はプラス圏で推移し続けた。新興グロース株が弱く、グロース250指数は後場一段安となって2%を超える下落。終盤にも売り込まれて安値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆4600億円。業種別では卸売、倉庫・運輸、輸送用機器などが上昇した一方、サービス、精密機器、情報・通信などが下落した。米長期金利は上昇したものの、レーザーテック<6920.T>が非常に強い動きを見せて3%高。連日で年初来高値を更新した。一方、レーザーテック以外の半導体株は米長期金利の上昇を嫌気して売られており、中でもソシオネクスト<6526.T>が商いを伴って5.2%安と弱さが目立った。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり761/値下がり844。株式分割や自己株取得などを発表したセブン&アイが5.3%高。米長期金利の上昇を好感して三菱UFJや三井住友など銀行株に資金が向かい、為替が円安に振れたことを好感してトヨタやホンダなど自動車株に見直し買いが入った。伊藤忠や住友商事など商社株の一角が大幅上昇。3Q決算が好感されたトリケミカルが急伸した。

 一方、指数寄与度の大きいファーストリテイリング、ソフトバンクGのほか、値がさのキーエンスが軟調。太陽誘電やTDKなどハイテク系の銘柄が幅広く売りに押された。ジーエヌアイ、JTOWER、ウェルスナビなどグロースの主力銘柄が大幅安。直近で人気化した銘柄が反動で派手に下げており、さくらネットが7.8%安。地盤ネットや247が2桁の下落率となった。

 日経平均は小幅安。前日が高値引けできょうは12月の初日。ダウ平均は500ドルを超える上昇で年初来高値を更新と、跳ねる要素は結構あったが、スタートから盛り上がりに欠ける動きとなった。良く言えば冷静だが、好材料に対する反応が鈍いと年末株高への期待は後退する。

 きょうはテレビ局の株価に動意が見られた。テレビ局株は低PBR銘柄が多い。低PBRだからこれもバリュー株の位置づけとなるが、金融株や市況関連とは異なり、若干地味なタイプ。証券株や中堅の建設株なども似たような立ち位置にいる。米国の長期金利は低下傾向にあるとは言え、きょうは金利上昇に厳しい反応を示したグロース株も多かった。とは言え、バリュー株も金融株は金利が下がれば売られるし、市況関連は商品価格の下落や景気悪化を理由に売られる要素がある。長期金利が上がろうと下がろうと、理屈上ではPBR1倍以下というのは割安。グロース・バリューの主力銘柄がどちらも手がけづらくなってきた場合には、地味な低PBR銘柄の注目度が高まる可能性がある。


【来週の見通し】
 小動きか。金曜8日に米11月雇用統計の発表があり、翌週にはFOMC(12/12~13)が開催されることから、週を通して様子見姿勢の強い地合いが続くと予想する。FOMCでは政策金利の据え置きが濃厚であることから、過度に警戒が高まることはないとみる。ただし、早期の利下げを期待する市場をけん制するメッセージが出てくる可能性はある。米国では雇用統計以外にも11月のISM非製造業指数や雇用関連の指標などが出てくるが、FOMCを前にしては米国の長期金利が一方的に下がっていく展開は想定しづらい。日本株はここ最近、強いとも弱いとも言えない動きが続いている。来週は米長期金利の方向性がはっきりしないと思われる中、強弱感が定まらず、現状水準近辺での一進一退が続くだろう。
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