株式明日の戦略-引け間際に崩れてプラスを保てず、調整が浅いか深いかの分岐点

 17日の日経平均は続落。終値は141円安の35477円。休場明けの米国株は下落したが、寄り付きは200円を超える上昇。円安進行に加えて、米国でエヌビディアなど半導体株が大幅高となったことが買い材料となった。強いスタートを受けて上昇に弾みがつき、一気に上げ幅を600円超に拡大。36200円台まで水準を切り上げた。

 しかし、アジア株の軟調スタートを確認すると10時台半ばからは急失速。後場に入るとマイナス圏に沈んだ。押したところではいったん買いが入り、13時台半ば辺りからは小幅高でのもみ合いがしばらく続いた。プラスは確保して終わるかと思われたが、終盤に崩れてマイナス転換から一気に下げ幅を3桁に拡大。35500円を割り込み、安値圏で取引を終えた。米長期金利上昇が新興グロース株には逆風となり、グロース250指数は2.5%安。終値で節目の700pを割り込んだ。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆2700億円。振れ幅が大きくなる中で商いも膨らんだ。業種別では卸売、保険、小売などが上昇している一方、鉱業、電気・ガス、医薬品などが下落している。証券会社が投資判断を引き上げた東プレ<5975.T>が急伸。半面、通期の利益を引き上げたものの、新株予約権の発行が嫌気された北川精機<6327.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり486/値下がり1114。米半導体株の大幅高を手がかりにレーザーテックが4.1%高。主力銘柄ではソフトバンクGや三菱商事などの動きが良かった。SOMPOやMS&ADなど保険株が米金利上昇に好反応を示して軒並み高。日経新聞の特集記事を材料に、吉野家、銚子丸、串カツ田中など外食株買いが盛り上がった。データセンターにおける日常点検をAIで自動化するための実証実験を開始すると発表したさくらネットとブレインズテクノロジーがともに人気化。さくらネットはストップ高となり、ブレインズテクノロジーはストップ高比例配分となった。

 一方、東電HD、信越化学、富士通などが大幅安。米金利上昇を嫌気して、三菱地所、積水ハウス、大和ハウスなど不動産・住宅関連が売りに押された。下方修正を発表したホギメディカルが7%安。新株発行や売り出しを発表したヤマエGHDが16.3%安と急落した。グロース市場では弁護士ドットコム、フリー、ウェルスナビなど主力銘柄が大幅安。高値圏で推移していたGENDAが2桁の下落率となった。

 日経平均は続落。600円超上昇した後にマイナス圏に沈むなど、かなり値動きが荒くなった。日本株に連動するETF「チャイナAMC野村日経225」に中国の投資家の資金が殺到していることを受けて、運用会社が取引の一時停止を決定したことが、高値圏から崩れたきっかけとなったとの見方があった。日本株は今年に入って他市場と比べてもパフォーマンスが良く、目先は振れ幅が大きくなることは許容しないといけない。そもそも、前場で600円超上昇したのは跳ねすぎの感も強かった。

 ただ、下落かつ安値圏で終えたことは印象が悪い。失速はしたけれどもプラスでは終われそうな雰囲気が漂っていたところ、引け間際にまとまった売りが出てきた。終値(35477円)では5日線(35525円、17日時点)を下回っている。もう一段下げて5日線を明確に割り込んだ場合には、いったんは下を試しに行くことになると思われる。それだけに、あす踏みとどまることができるかが非常に重要。弱いようだと金曜19日は利益確定や手じまいの売りが出やすくなる。きょう引け間際に崩れた際にはファーストリテイリング<9983.T>が同様に崩れている。この銘柄のあすの値動きには注意を払っておきたい。
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