NY株見通し-今週は1月消費者物価指数(CPI)などの物価指標に注目

 今週のNY市場は物価指標に注目。先週はダウ平均が0.04%高とほぼ横ばいとなったものの、S&P500が1.37%高、ナスダック総合が2.31%高となり、主要3指数がそろって5週続伸。直近15週間で14週の上昇となった。米1月ISM非製造業PMIが予想を上回る強い内容だったことや、米連邦準備理事会(FRB)高官から利下げに慎重な発言が相次ぎ、早期利下げ期待が後退し、米10年債利回りは4.187%と前週比で0.156%ポイント上昇したものの、第4四半期決算が総じて強い結果となったほか、米国経済のソフトランディング期待が強まったこと、人工知能(AI)分野の成長期待を背景にエヌビディアやアプライド・マテリアルズなどの半導体株やアルファベット、アマゾン・ドット・コムなどのハイテク・ジャイアントが上昇したことが相場を押し上げた。
 S&P500は週半ばから3日連続で取引時間中と終値の最高値を更新し、週末9日に初めて5000ポイント台を上回って終了した。ダウ平均も7、8日に終値の過去最高値を更新し、ナスダック総合は2021年11月に付けた終値の最高値まで0.42%に迫った。
 決算発表銘柄は、予想を上回る決算を発表したラルフ・ローレンやウォルト・ディズニーが週間で2桁高となった。半導体株は人工知能(AI)分野の成長期待を背景にアプライド・マテリアルズが10%超上昇し、エヌビディアも9%高となり上場来高値を更新した。ハイテク・ジャイアントはマイクロソフトが2.3%高と5週続伸。時価総額は世界最大の3兆1250となり、かつてアップルが記録した3兆900億ドルを上回った。


 今週は1月消費者物価指数(CPI)や1月生産者物価指数(PPI)などの物価指標に注目が集まる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長などのFRB高官から市場の早期利下げ期待をけん制する発言が相次いだことや、足もとで発表された経済指標が総じて強い結果となったことで3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待は大きく後退したが、CMEのフェド・ウォッチが示す5月FOMCでの利下げ確率は61%と短期金利市場では年前半の利下げ開始が予想されており、物価指標の結果を受けた利下げ見通しが焦点となりそうだ。火曜日に発表される1月CPIは前年比+3.0%と12月改定値の+3.3%から低下が見込まれ、前月比でも+0.2%と12月改定値から横ばいが見込まれている。S&P500が史上初の5000ポイントを上回り、テクニカルやセンチメントが改善しているほか、第4四半期決算も総じて予想を上回る強い内容となっており、CPIなどの伸びが鈍化し、早期利下げ期待が高まれば、米国株のさらなる上昇が期待できそうだ。今週の経済指標は火曜日の1月CPI、金曜日の1月PPIのほか、2月NY連銀製造業業況指数、新規失業保険申請件数、1月小売売上高(以上木曜日)、1月住宅着工件数、2月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値(金曜日)など。後半戦を迎えた第4四半期決算発表はS&P500採用の約60銘柄が発表予定で、主要なものはバイオジェン、エアビーアンドビー、シスコ・システムズ、ディア、アプライド・マテリアルズなど。

 今晩の米経済指標・イベントは1月財政収支など。企業決算は寄り前にトリンブル、引け後にウエイスト・マネジメント、アリスタ・ネットワークスなどが発表予定。(執筆:2月12日、14:00)
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